研究課題/領域番号 |
22K13276
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分05010:基礎法学関連
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
山口 真由 信州大学, 先鋭領域融合研究群社会基盤研究所, 特任教授 (50879806)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 生殖補助医療 / 親子法 / アメリカ法 / 英米法 / 家族法 / 生殖医療 / 代理懐胎 / 出自を知る権利 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究においては、生殖補助医療に対する適切な行為規制を検討する。特に生殖補助医療の場合、その市場性をいかに規律するかという点が議論を要する。そこで、十分に機能する行為規制がないまま市場原理に委ねる点で“Wild West”と批判されるアメリカの生殖補助医療規制をあえて題材とし、その失敗から乗り越えるべき課題を具体的に抽出し、刑事、民事、行政の法的規律と専門家団体のガイドラインをいかに組み合わせれば、市場原理で動くアクターを実効的な規律にできるかを検討する。
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研究実績の概要 |
本研究においては、アメリカとの比較法の手法で生殖補助医療に関する適切な行為規制の検討を目的とする。アメリカでは、精子や卵子、胚の提供のほか代理懐胎を含めて、他の先進国において必ずしも許容されていない生殖補助医療がプラクティスとして盛んに行われている。このような現状に関しては”Wild West”と表現され、行為規制がほとんどないと評価されてきた。しかしながら、生殖補助医療の分野は一定の秩序を保っているようにも見受けられる。そこで、アメリカにおける生殖補助医療の行為規制の実際を調査し、そこから第三者への精子や卵子の提供とその場合の親子関係に関する法令を、今後整備しようとする我が国に有意義な示唆を得ることを試みてきた。 アメリカにおいて、生殖補助医療の分野では法令といった形でのハードな規制が少ないとされる。法令の具体的な内容として、各不妊治療クリニックに体外受精の成功率の開示を義務付ける連邦法、わずかな州法の規定のほかは、Food and Drug Administration(FDA)規則があるものの、それ以外に法令による規制はほとんどない。ところが、自主規制を中心とするソフトな規制は比較的網羅的なものが用意されている。生殖補助医療の専門家による団体American Society for Reproductive Medicineは、提供者の要件、スクリーニングやカウンセリングを含めて精子、卵子や胚の提供に関して詳細なガイドラインを出している。精子バンクにおいては、このガイドラインに従い、かつより厳格な自主規制を自ら公表するのがステイタスとなっている。このように法令のようなハードなルールのみならず、自主規制のようなソフトなルールとの組み合わせによって、業界の倫理と秩序を維持する方式は、技術の成長が著しい生殖補助医療の分野において、我が国にも一定の示唆を与える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究においては第一段階としてアメリカの生殖補助医療の行為規制に関する実態を明らかにし、第二段階としてそこから抽出された課題を我が国に当てはめることを計画している。 第一段階のアメリカの調査は概ね終了したものの、第二段階の課題の抽出を含む、我が国への提言に関しては、2023年度、子どもを出産するため産前産後に休業した影響で計画の進行に多少の遅れが出ている。
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今後の研究の推進方策 |
生殖補助医療に関するアメリカの行為規制に関しては必要な資料の収集は概ね終了している。今後は、この調査結果をまとめて、法令を含むハードなルールと業界団体のガイドラインや自主規制を含むソフトなルールがどのように相互に連携して、技術の進展が速い領域において適切な規制を形成することができるのかという全体像を明らかにし、提言へとつなげていきたい。
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