研究課題/領域番号 |
22K13278
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分05010:基礎法学関連
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
太田 寿明 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(法), 准教授 (00906894)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | アダム・スミス / 『道徳感情論』 / 『法学講義』 / 『国富論』 / 法哲学 / 行政(police) / 経済学 / ハイエク / 自由主義 / 行政 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、スミスが経済学を法学(『道徳感情論』の言葉では「法と統治の一般原理」)、特に統治論と見た点に着目し、法学研究の視座から彼の経済学と自由主義を再検討することを目的とする。スミス経済学研究は、「自然的自由の体系」論の意義を強調する従来の潮流に対し、統治(『法学講義』の言葉では「行政(police)」)論として彼の経済学を読む近時の解釈が挑戦する状況である。そこで本研究は、まずこの動向に法制史研究の視座を加えることで、行政論の伝統におけるスミス経済学の位置を探る。さらに本研究は、統治論としてのスミス経済学の法学上の地位を、彼の司法(justice)論との比較により解明し、目的達成を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、アダム・スミスが自らの経済学を法学の一環(統治論)と見た点に着目することで、法学研究の視座からスミス自由主義を再定義することである。2023年度は、主として以下4点の研究内容を実施した。 1.ドゥラマール『行政論』(1705-38年)といったスミスが影響を受けたといえる「行政(police)」論の関連文献を2022年度に引き続いて調査し、特に法制史研究の視点を考慮して、それらと『法学講義』行政論の比較分析を進めた。 2.スミスに関心を持つ様々な分野の研究者から構成される『国富論』輪読会(「スミス『国富論』を読む会」)に参加し、2023年度は主に『国富論』序論、第1篇、および第2篇(4章まで)を共同討議し、本研究代表者はそこで発表「『国富論』第1編第2-3章の分析」(5月13日)を実施した。 3.2022年度においても進めていたフリードリヒ・フォン・ハイエクとスミスの法哲学の比較分析の成果を、発表「アダム・スミス「自由主義」再考:焦点としての『法学講義』」(経済学史学会、5月21日)、発表「スミスとハイエクの自由論」(東京法哲学研究会、6月17日)、論文「スミス「自由主義」再考:焦点としての「被治者の自由」」(『思想』1195号、岩波書店、10月25日)において公表した。 4.本研究を達成するための基本課題であるスミスの「憤慨(resentment)」概念と彼の法哲学・自由論との理論的関係の解明を発表‘Resentment, Jurisprudence, and ‘the liberty of the subjects’: A Reconsideration of Adam Smith’s Philosophy of Law’(International Adam Smith Society Tokyo Conference 2024, 3月12日)において実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度の研究は、主として以下4点を達成することができた。 1.スミス経済学と「行政」論の伝統の比較分析に関して研究成果公表に向けた具体的見通しを得ることができた。 2.スミス『国富論』を読む会において、様々な学問分野の研究者との共同討議を通じたスミス経済学の分析を進めることができ、かつその中で今後の研究の発展に通ずる学際的なスミス研究のネットワークを深めることができた。 3.スミスとハイエクの比較研究を論文・発表において公表することで、本研究の目標である「アダム・スミス自由主義の再定義」を現代自由主義との比較において実行し、本研究が現代の法哲学・政治哲学に対して備える発展性を明確に提示することができた。 4.国際学会であるInternational Adam Smith Society Tokyo Conference 2024において、国内外のスミス研究者と交流しつつ自身のスミス研究の成果を国際的に発信することができた。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度までの達成内容を前提として、引き続き研究課題の遂行に努め、その成果を国内外の雑誌や学会・研究会で公表することを通じて、研究者と幅広く交流しつつ自身の研究内容を深化させる。
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