研究課題/領域番号 |
22K13287
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分05020:公法学関連
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
水谷 瑛嗣郎 関西大学, 社会学部, 准教授 (80783688)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | オンライン・プラットフォーム / インターネット / 表現の自由 / 民主主義 / ソーシャルメディア / SNS / アテンション・エコノミー / 放送制度 / 憲法 / プラットフォーム |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、オンライン・プラットフォーム(PF)企業に関連するアメリカやヨーロッパの論文、文献、判例の調査、さらにはPF企業の運営プロセス(コンテンツ・モデレーションやニュース配信等)の実態把握を目的としたインタビュー調査を行う。加えてPF企業に対する各国の規制の事例も調査することで、PF企業群の憲法上の位置づけを明らかにしたうえで、憲法学の観点からその適切なガバナンス方法を検討・模索する。
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研究実績の概要 |
本年度は、研究成果として論文を1本、学会における研究報告を1本、公表することができた。まず第一に、「放送法制から見たデジタル情報空間」と題した論稿では、まずテレビ放送を取り巻く情報環境の変化を指摘した。現代ではスマートフォンを通じてテレビ番組を視聴するなど、視聴方法の多様化が進んでおり、さらに広告費がオンライン・プラットフォーム事業者に移行し、それに伴い、テレビ番組を制作・放送する民放各局も、オンライン空間に進出したことで、従来の他局間での番組視聴率争いではなく、プラットフォーム事業者との間でユーザーの「注目」を奪い合う競争にさらされている。そうした中で、放送局が維持してきた「国民の知る権利に奉仕する」機能をどのように確保すべきかについて、本稿では、近時ハーバード・ローレビューで紹介された「啓示原則(Awareness Doctrine)」を取り上げ、検討を行った。 第二に、「プラットフォーム企業によるオンライン言論のガバナンス―アメリカの状況を参考に」と題した研究報告を行った。この報告では、現代の表現環境におけるプラットフォーム事業者の台頭を踏まえ、同事業者が行っている「コンテンツ・モデレーション」に着目し、こうしたモデレーションと表現の自由をめぐるアメリカでの議論状況について検討を行っている。アメリカでは、フロリダ州とテキサス州において、プラットフォーム事業者のコンテンツ・モデレーションを規制する州法が成立しており、現在、連邦裁判所で仮差し止めが争われている。またプラットフォーム事業者を「コモンキャリア」に位置付ける議論も登場する中で、「新たな統治者」と呼ばれる同事業者の特殊な(憲法的)地位を踏まえ、これを統御(ガバナンス)する様々なモデルについて、検討を行っている。その中では、よりシステム思考的な「協調的ガバナンス(Collaborative governance)」という手法が注目される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、1本の論文と1本の研究報告を行うことができた。研究成果の公表としては、おおむね予定通りに進展している。
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今後の研究の推進方策 |
次年度についても、本年度に行った「プラットフォーム企業によるオンライン言論のガバナンス―アメリカの状況を参考に」の研究報告をベースにした論文の公表が予定されている。また同研究報告の続編となる内容での研究報告も予定されている。また同じく本年度に公表した「放送法制から見たデジタル情報空間」の続編となる論文の公表も予定されている。これ以外に、近時、欧州などで着目されている「デジタル立憲主義」に関する論文も執筆を予定している。同時に、研究計画で予定されていたインタビュー調査についても、準備を進める予定である。
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