研究課題/領域番号 |
22K13291
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分05030:国際法学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
高田 陽奈子 大阪大学, 大学院国際公共政策研究科, 准教授 (90848095)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 国際人権法 / 人権条約の実効性 / 人権条約の正統性 / 国を超えた権力分立 / 敬譲(deference) / 国家機関 |
研究開始時の研究の概要 |
従来の国際法学においては、国際法秩序と国内法秩序との分離という前提のもと、国際法は、単一の法的実体としての「国家」のみを規律するのであり、個別の国家機関を直接的に規律することはない、と理解されてきた。しかし、近年、人権条約の実効性と正統性の促進という目的のもと、人権条約機関と個別の国家機関(裁判所、議会、各種行政機関および国内人権機関)とが、直接的な関係を構築するという現象がみられる。先行研究は、そのような現象を断片的かつ記述的な形でしか取り上げてこなかった。これに対して本研究は、「国を超えた権力分立」という独自の理論的枠組から、それら現象を一体のものとして説明し規律することを目指す。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、人権条約機関および各国の各種国家機関による実践の包括的分析と、主要国の憲法学における権力分立に関する先行研究の検討を通じて、人権条約機関と個別の国家機関との間の「国を超えた権力分立」が、いかなる原理・原則によって規律される(べきか)、また、それが、「国家」を単位としてきた従来の国際法学にいかなる理論的示唆を与えるか、を論ずることである。この目的のもと、2022年度は、主に次の3つの作業を行った。(1)国を超えた権力分立を論ずるにあたっては、敬譲(deference)が重要な概念となる。そこで、国際裁判所による国内的決定への敬譲を主題とする3つの最新のモノグラフ(Fahner (2020)、Dothan (2020)、Shirlow (2021))を比較検討し、国を超えた権力分立の成立可能性やその課題についての示唆を得た。この成果の一部を、京都大学国際法研究会において報告し、その後、書評論文として国際法外交雑誌において公表した。(2)人権条約機関が、国内人権機関やNGO等の、非伝統的なアクターとどのようにかかわるのかについて調査し、国を超えた権力分立において、そうしたアクターがどのように位置づけられ得るかについて考察した。この成果の一部を、京都大学国際法研究会において報告し、その後、Max Planck Encyclopedias of International Lawへの査読済記事(共著)として公表した。(3)人権条約機関と個別の国家機関(議会、裁判所、各種行政機関)との間でどのように権限配分を行うべきかという問題への、国内憲法理論の応用可能性について検討した。これにより得られた知見の一部を、「憲法および人権条約を接合する多元的・非階層的・循環的人権システム理論の可能性」研究会で報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記「研究実績の概要」の欄で述べた通り、敬譲概念の分析、人権条約機関と国内人権機関・NGOとの関係についての理論・実践面での考察、そして「国を超えた権力分立」への国内憲法理論の応用可能性についての一定の検討を行うことができた点で、また、それらの研究成果について、研究報告や、書評論文、査読済記事という形で一定のアウトプットを行うことができた点において、本研究課題はおおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、上記「研究実績の概要」で示した(3)の作業に引き続き取り組むとともに、アフリカ人権委員会・裁判所および、自由権規約委員会以外の国連の人権条約機関という、法学的な先行研究が少ない機関について、その歴史的経緯や制度、実践、今日的課題といった観点から学びたい。
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