研究課題/領域番号 |
22K13292
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分05030:国際法学関連
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研究機関 | 大阪経済大学 |
研究代表者 |
越智 幹仁 大阪経済大学, 経営学部, 講師 (60867141)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2026年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 国際商事裁判所 / 国際取引と紛争解決 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、フランス・パリ控訴院およびパリ商事裁判所に設立された国際商事部について、その設立の背景や運用の実態を調査し、日本における英語や英米法に対応した国際商事部の設立の実現可能性を探求することを目的とする。 本研究は、ここ数年国際商事仲裁の分野で推進されている日本における国際仲裁の活性化を目指した諸改革に呼応するものでもある。また、世界各地で近年見られる国際商事紛争の解決に特化した裁判所の設立や、調停の利用の促進など、仲裁によらない国際取引紛争の解決方法の模索という世界的潮流にも沿うものでもある。
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研究実績の概要 |
本研究は、フランス・パリ控訴院およびパリ商事裁判所に設立された国際商事部について、その設立の背景や運用の実態を調査し、日本における英語や英米法に対応した国際商事部の設立の実現可能性を探求することを目的とする。 2022年度は、当初はフランス等外国に赴いて、関係する実務家や研究者にインタビューを実施するなどの調査を行う予定であった。しかし、新型コロナウイルス感染症に関する懸念がまだ完全に払拭できたとは言い難い状況であったので、海外への渡航が必要となる調査活動は見送らざるを得なかった。 その代わり、文献の収集・読解による調査・研究を進めることにした。フランスの裁判所制度・民事訴訟手続に加え、また、フランスの国際商事部が英米法の特徴を意識した手続を可能としていることから、英米法圏の手続法や国際取引紛争解決制度に関する文献も収集し、読み進めた。 他方で、日本法の視点からの研究の必要も感じ、関連する文献の収集・読解に努めた。パンデミックの影響もあって、国内手続にせよ、国際的な裁判・仲裁・調停にせよ、オンラインへの対応は不可欠である。その点で、昨年の民事訴訟IT化法は、本研究の遂行のためにも重要な考察対象である。さらには、仲裁法の改正の論議が進み(※2023年4月末に、シンガポール調停条約の実施に関する法律等とともに成立、公布された)、そこでは、東京・大阪地方裁判所での競合管轄や一定の場合に日本語訳の添付が不要となるなど、国際取引紛争の解決における日本の裁判所の役割の変化が見られる。 本年度は、海外調査ができなかった代わりに、様々な視点から国際取引紛争における裁判所の役割のあり方について、文献を通して知見を深めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症による混乱・懸念も踏まえて海外渡航を見送った点で、当初の研究計画の見直しを余儀なくされた影響は大きい。しかし、文献の収集・読解については、今後の研究の基礎となるような知見を拡げ/深めることにつながった点で、一定の進展をみたと考えている。その一方で、文献から得られた知見をまとめて、学界や実務に貢献できるような発信をするには至っていないという課題もある。
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今後の研究の推進方策 |
今般の新型コロナウイルス感染症にともなって、国際商事仲裁の実務も変容してきているように考えてきている。それに加えて、昨今では、シンガポール調停条約の締約国が増えてきているなど、調停による国際取引紛争の解決が注目を集めている。日本でも、仲裁法の改正やシンガポール調停条約の実施に関する法律等の成立に関する議論を通じて、研究者や実務家の間で仲裁や調停に関する関心が高まってきている。それに加えて、昨年の民事訴訟IT化法や、中目黒での「ビジネス・コート」の設立は、特に国内法分野において大きな意義ないし可能性を持っているだろう。 本研究は、国際取引紛争の解決について裁判所という選択肢の再検討を目指す点で、上記の潮流とは若干視点を異にしている。しかし、国際取引から生じた紛争の効率的・実効的な解決を保障し、国際取引の促進に結びつけるという点では、共通した問題関心によって捉えられる。今後の本研究では、こうした仲裁、調停、あるいは国内の民事手続に関する近時の動きにも関心を払う必要を強く感じている。
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