研究課題/領域番号 |
22K13298
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分05050:刑事法学関連
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
堀田 尚徳 広島大学, 人間社会科学研究科(法), 准教授 (70779579)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
|
キーワード | 被疑者 / 逮捕 / 勾留 / 欧州人権条約 / 欧州人権裁判所 |
研究開始時の研究の概要 |
我が国では、被疑者の身体拘束が不必要に長期化する場合がある。この場合、身体拘束から解放するための諸制度が活用されなければならず、そのためには、被疑者及び弁護人が捜査機関側の有する身体拘束の根拠となった資料の内容を知る権利(資料開示請求権)を有することが不可欠である。しかし、この権利を定めた規定が現行刑事訴訟法に存在しないため、被疑者側は不十分な情報に基づいて身体拘束の不当性を裁判官に訴えることになり、その結果、上記諸制度を活用できていない。 本研究では、資料開示請求権を積極的に認める解釈論を展開している欧州人権条約の議論を参照することで、資料開示請求権の具体的内容についての解釈論を示す。
|
研究実績の概要 |
本研究の目的は、欧州人権条約5条4項の解釈に関する議論を参照することで、対審手続を受ける権利(市民的及び政治的権利に関する国際規約(B規約)9条4項)に基づき、被疑者及び弁護人が、捜査機関側の有する身体拘束の根拠となった資料の内容を知る権利(資料開示請求権)を有すること、また、当該権利の法的性質・内容・限界を明らかにすることにある。 研究初年度である令和4年度は、対審手続を受ける権利自体の沿革・趣旨の解明に取り組んだ。具体的には、以下の2点を重点的に行った。 第1に、対審手続を受ける権利が導かれた理由及び経緯の解明である。対審手続を受ける権利は、B規約9条4項や欧州人権条約5条4項において条文の文言上明示されていないが、解釈上、認められている。対審手続を受ける権利が解釈上認められるようになったということは、条約制定後に、対審手続を受ける権利を保障する必要が生じたということである。そこで、欧州人権条約を中心としつつB規約についても、条約制定時に遡って出来るだけ幅広く体系書、研究書、立法資料等の文献を収集し、分析した。 第2に、B規約9条4項、欧州人権条約5条4項と他の規定との関係の解明である。本研究の目的をふまえると、対審手続を受ける権利についての文献のみを収集し、分析すれば足りるとも思える。しかし、同権利が導かれるまでには沿革があり、その沿革の中で同権利がどのように位置付けられてきたのかを分析することで、同権利の特徴が明らかになる。そこで、同権利以外の関連する権利についての文献も収集し、分析した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4年度は、対審手続を受ける権利自体の沿革・趣旨の解明について、一定量の文献を収集し、分析することができた。他方で、収集した文献の一部について翻訳及び分析を完了することができなかった。もっとも、対審手続を受ける権利自体の沿革・趣旨の解明は元々翌令和5年度前半までかけて実施する予定であったため、このような事態は、当初の研究計画策定段階において想定していた範囲内に止まっており、令和5年度前半まで作業を継続することで完了できる予定である。そこで「おおむね順調に進展している。」と判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
令和5年度前半は、令和4年度の作業の残りについて完了することを目指す。 令和5年度後半及び令和6年度は、被疑者及び弁護人が、捜査機関側の有する身体拘束の根拠となった資料の内容を知る権利(資料開示請求権)の法的性質・内容・限界の解明に取り組む。具体的には、資料開示請求権が導かれた理由及び経緯を整理すると共に、学説及び裁判例においてどのような問題点が議論されてきたのかについて、文献を収集し、分析する。 令和7年度は、前年度までに行った分析結果を取りまとめた上で、研究会において研究報告を行うと共に、論文執筆を通じて成果を公表する。 令和4年度に収集した文献の一部について、翻訳及び分析を完了することができなかったこと以外は、研究計画全体に大幅な変更あるいは修正を必要とする事情が無いため、当初の研究計画に沿って研究を進める。
|