研究課題/領域番号 |
22K13301
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分05050:刑事法学関連
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研究機関 | 多摩大学 |
研究代表者 |
樋笠 尭士 多摩大学, 経営情報学部, 専任講師 (80803999)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2025年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | 自動運転 / 責任 / 義務 / 遠隔監視 / 混在空間 / 注意義務 / 特定自動運行 / レベル4 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、混在空間におけるレベル4自動運転(部分自動運転)の社会実装に向けた喫緊の課題(遠隔監視者、製造者、運行者、乗客に求められる法的義務は何か、また、事故発生時に各関与者に刑事責任が生じるか、ならびに、生じるとした際の刑事責任の内容は何か)に対して、各関与者ごとに必要な対策を提示する。 実務の実証実験および技術の情報を踏まえ、現状を視察し、現場の製造者・運行者が抱える問題を認識したうえで、日本とドイツの法理論を用いて検討することにより、理論(刑法学、ドイツ刑法学等)と、実務(自動運転の技術・業界動向)の架橋に基づき、理論研究と実証(実務)研究を用いることで現実に即した課題解決を提示する。
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研究実績の概要 |
申請者が参画しているEUの自動運転プロジェクトで、各国の混在空間レベル4ユースケースを検証した。EUのSHOWプロジェクトにおける協調型自動運転について意見交換をおこなった。遠隔監視の体制と責任分担につき、運行領域設計(ODD)の解釈が日本と外国(特にドイツ)で異なり、どこまでが「運転者なしの自動運転」なのかに乖離があることがわかった。 異常時・ODD外になった際に、MRM(ミニマムリスクマヌーバー)の発動で路肩に車両を止め、自動運転を停止すること自体は両国ともに同じであるが、日本では、できる限りMRMの前にシステムが状況に対処するのに対し、ドイツでは、判断に迷うシチュエーションが生じた際にすぐにMRMになり、遠隔監視者に指示を仰ぐ運用となっている。遠隔監視者が「ルートを指示する」ことは果たして純粋な自動運転レベル4と呼称できるのか、という問題点も浮かびつつ、ODDをどれだけ厳格に規定するかによって、遠隔監視者のタスクに増減が生じ、それに伴って義務が措定されるといえる。 また、「貨物自動車運送事業輸送安全規則の解釈及ひ運用について」によれば、特定自動運行保安員は、特定自動運行主任者及び同法第75条の19第3項に規定する現場措置業務実施者を兼任することとして差し支えないとされており、特定自動運行保安員は、特定自動運行主任者(2号方式)/現場措置業務実施者を兼任できることになっている。よって、3名分の義務を1人で車内で負う運用も可能になった。単なる事故時の救護義務であれば、従来の運転手と同じ負担であるものの、「遠隔監視(車内で)」、「保安業務」も兼ねるとすると、運転手と同等ないしそれ以上の負担も想定でき、義務の履行に支障がでないか、また、何らかの義務違反時に、結果回避可能性が存するのかが問題となるとの帰結を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ドイツにおけるシャトルバス事業者の情報と意見交換の機会を得た。が、ドイツ連邦デジタル・交通省(BMDV)自動車運転企画室長などの要職者へのヒアリングの機会と、ドイツの技術監督者の現地ヒアリングが、関係省庁と欧州のプロジェクト・日本の経産省のプロジェクトの進捗の関係で、実行できていない。
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今後の研究の推進方策 |
ドイツにおいて、ドイツLv.4ユースケース・作為義務についての現地分析(関係機関と一部自動車企業の受入承諾済)を行う。 そののち、インフラ協調などの混在空間の設備体勢が整ったうえで、製造者・運行者ヒアリング(日独WEBおよび現地)を行うつもりである。
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