研究課題/領域番号 |
22K13310
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分05060:民事法学関連
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研究機関 | 神戸大学 (2023) 青山学院大学 (2022) |
研究代表者 |
熊代 拓馬 神戸大学, 法学研究科, 准教授 (50877040)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 会社法 / 証券法 / 情報開示制度 / コーポレート・ガバナンス / 関連当事者取引 / 利益相反 / 法の経済分析 / 株主権 / 非財務情報開示 |
研究開始時の研究の概要 |
会社が、当該会社の支配株主、経営者、又は彼らの影響を強く受ける個人・法人との間で取引を行う関連当事者取引では、独立した第三者との取引と比して、会社に不利な条件が設定され、関連当事者が私的利益を得る一方、会社ひいてはその一般株主が損害を被るおそれがある。関連当事者取引に対する法規制は、一律に禁止するという手法を除けば、その決定手続に対する規制、取引内容等に関する情報開示の義務付け、取引に対する司法審査に整理でき、わが国でも会社法を中心にこれら規制手法を組み合わせて規律付けを行ってきたが、必ずしも実効的なものとはなっていないように思われる。そこで、本研究では、関連当事者取引規制のあり方を検討する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、関連当事者取引において生じる利害対立を解決するために、法制度はいかにあるべきかという問題を解明することにある。そのために、本研究では、わが国における関連当事者取引に対する規制や実務慣行の現状を整理し、課題を抽出した上で、その解決策(解釈論・立法論)を提示することを目標とする。2023年度の研究成果は下記2点である。 第1に、関連当事者取引規制における情報開示制度の限界を検討する準備として、米国証券詐欺訴訟の主要判例を対象として、証券詐欺訴訟において、どのような情報が虚偽記載等の責任追及の対象となる情報であるかを検討し、その成果を公表した。米国では、合理的な投資家が投資判断をするにあたり当該情報を重要なものと考える(利用可能な情報の相対の変化がある)であろう相当程度の可能性がある場合に重要性が認められるが、そうした基準を採ることで、完全な情報開示の実現と些末な情報開示の抑制の均衡を図ろうとしていること、重要性の判断にあたり明確に線引された基準(bright line rule)を採らないが、これは過剰規制・過小規制となることを避けるためであること等を明らかにした。 第2に、2023年12月に改訂された東京証券取引所のコーポレート・ガバナンス報告書記載要領を対象として、わが国の上場従属会社のグループ経営・少数株主保護における情報開示制度の機能と限界についての検討に着手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度の進捗状況はやや遅れたものであったが、本年度の【研究実績の概要】において示した通り、情報開示制度を中心に検討が進展し、その成果を着実に公表することができている。また、関連当事者取引を出発点としつつ、支配株主・少数株主間の構造的利益相反関係がある場合一般について対象を広げ、グループ経営・少数株主保護法制における情報開示の機能と限界について検討が進んでいる点は、予想以上の進展である。以上より、2023年度末において、2022年度における進捗状況の遅れを取戻し、概ね順調に進展していると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度以降は、次のように本研究を遂行することで、研究課題を解明する予定である。 第1に、2023年度において、検討を進めたわが国の上場従属会社のグループ経営・少数株主保護における情報開示制度の機能と限界についての研究成果を公表する。 第2に、第1の研究成果を発展させるため、情報開示制度一般における課題(とりわけ、開示情報の正確性の確保のあり方)についての検討を進める。
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