研究課題/領域番号 |
22K13312
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分05060:民事法学関連
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研究機関 | 西南学院大学 (2023) 朝日大学 (2022) |
研究代表者 |
小出 隼人 西南学院大学, 法学部, 准教授 (60844818)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 贈与 / 寄付 |
研究開始時の研究の概要 |
民法学における寄付の法的構成に関する議論は、三者間(寄付者、募集者、受益者)での寄付を特殊な贈与と位置づけながらも信託的譲渡と構成し、履行請求権や返還請求権を寄付者に認めるものである。しかし、寄付を負担付贈与と構成した場合でも、募集者が負担を履行しなければ、寄付者は負担の履行を請求することができ、それでも履行されない場合は、契約を解除することが可能である。 本研究は、主に日本民法典立法過程から贈与の意義や概念、負担付贈与における「負担」の内容を明らかにした上で、寄付が契約類型における贈与として論じられるべきかという問題について、ドイツ法の議論も参照しつつ、検討するものである。
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研究実績の概要 |
2023年度は前年度の日本法における贈与の立法過程に関する資料収集と分析を踏まえて、贈与と寄付の異同について検討してきた。具体的には、贈与と寄付に関するこれまでの議論状況を概観した上で、日本民法典立法過程の議論から、民法549条が規定する贈与がいかなる贈与を対象とするのか、民法553条の負担付贈与において「負担」とはいかなる内容を有するものなのかについて明らかにし、寄付を契約類型としての「贈与」として捉えることができるのか否かについて検討した。 その結果、寄付を贈与ないし負担付贈与として構成することについては、贈与における受贈者の利得の解釈が問題となり、義援金等に見られる寄付の場合、募集者は寄付によって利益を受けるわけではないので、受贈者の利得を厳格に解せば、贈与ないし負担付贈与として寄付を法的に構成することは難しいように思われるが、負担付贈与によって受贈者が受ける利益の価額と受贈者の負う負担の価額との間に対価的均衡が存在しないということについては、必ずしも客観的に決せられるものではなく、当事者の主観によって決することも可能であると考えられるのであれば、負担の内容や、受贈者が負担付贈与によって利得を得るかどうかついては柔軟な解釈が可能であるという結論が得られた。 そのほか、前年度の研究実績を基礎に民法の視点から寄付に関する法的議論状況を整理・検討した研究成果も公表することができた(坂本治也編『日本の寄付を科学するー利他のアカデミア入門』(明石書店、2023)17章担当)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度の研究実績を踏まえ、本年度に研究成果を公表することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は日本法を主眼とするものであり、本年度において一定の研究成果を公表することができた。次年度は研究計画に従い引き続きドイツ法文献の収集・分析を予定しており、ドイツ民法典立法過程を中心に贈与と寄付の異同について検討する予定である。
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