研究課題/領域番号 |
22K13315
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分05070:新領域法学関連
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研究機関 | 京都教育大学 |
研究代表者 |
比良 友佳理 京都教育大学, 教育学部, 講師 (40733077)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 著作権法 / 知的財産法 / 現代アート / フランス法 / 芸術と法 / 著作権 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、現代アートの著作権法による保護に関する論点を包括的、横断的に検討し、これまでの学術的蓄積では不十分であった諸論点を整理することで、現代アートを著作権法で保護することの適否と、個別論点の解釈上の課題を明らかにするものである。現代アートは従来の著作権法が想定していた著作物とは異なる性質を有しているという点を踏まえ、現代アート関連の判例の蓄積が豊富で、なおかつ著作権の制限規定が日本法と同じ限定列挙方式で、著作者人格権の保護も厚いフランス法との比較法研究を行うことで、我が国において、現代アートを著作権法で保護する場合、解釈論としていかなるものが法的に妥当かつ実効的であるかを明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究は、現代アートの著作権法による保護の可能性を追求するとともに、現代アートを著作権法で保護する場合、具体的にどのような論点が問題になるのかをアートの類型ごとに整理するものである。現代アートと著作権に関する裁判例が豊富で、学説での議論も活発なフランス法を比較法の対象とし、現代アートの法的位置づけと妥当な解釈論を追求する。 1年目にあたる本年度は、主にコンセプチュアル・アートやレディメイドを中心に、現代アート作品の著作物性について検討を行った。日本の金魚電話ボックス事件でも問題となった、コンセプチュアルアートやレディメイドの著作物性に関して、フランスでは、Christo のラッピングアートについて、ラッピングという手法を用いて具体的に実現された作品の保護は認められるため第三者による撮影は止められるが(CA Paris, 13 mars 1986)、手法そのものは独占できないため同様の手法を用いた広告キャンペーンを止めることはできないと判じた判決がある(TGI Paris, 26 mai 1987)。他方、廃墟のドア上部に「Paradis」という文字を貼り付けたアート作品について「特定の場所にある言葉を貼ることで言葉の意味を変容させるという芸術家の観念的なアプローチは、明らかに独自の具体的な成果物として表現されている」として著作物性を認めた破毀院判決があり(Civ. 1re, 13 nov. 2008)、抽象的な作品を著作権法で保護すべきかは必ずしも明確ではなく、学説でも争いがある。 これらの裁判例に関する判例評釈や文献を収集・分析し、論点を整理する作業を行った。その成果は、2023年度中に論文にまとめ公表予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定どおり、研究初年度に当たる1年目に十分な資料収集と文献の読み込みができ、2年目までに公表予定であった論文の執筆に着手することができたため、おおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後も引き続き現在の作業を進め、2023年度に論文としてまとめて公表する。具体的には、現代アート作品の著作物性に関するフランスの学説の議論を整理するとともに、特許法や商標法など他の知的財産法による現代アートの保護の可能性についても検討し、著作権制度による現代アートの保護の必要性と意義、限界を明らかにする。
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