研究課題/領域番号 |
22K13320
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分06010:政治学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
金子 智樹 東北大学, 法学研究科, 准教授 (50943487)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 政治コミュニケーション / 日本政治 / マスメディア / 政治学 / 世論 / 政治意識 |
研究開始時の研究の概要 |
マスメディアの政治的なバイアスや有権者への影響に関しては、米国を中心に盛んに研究が行われてきた。本研究の大きな目標は、大きく変化した現代の情報環境を踏まえ、オンライン時代のマスメディアの政治報道が人々に対して与える影響を、日本において検証することである。その際、マスメディア報道のネガティブな側面(有権者のメディア不信の増大や社会的な分極化の加速など)とポジティブな側面(政治的知識の増加や政治参加の促進など)の両側面に注目する。具体的には、インターネット調査や実験、大規模データの解析などを積み重ね、研究課題に多角的にアプローチすることとしたい。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、現代日本にけるマスメディアの政治報道が有権者に与える影響とその不均質性を、特にオンライン上の政治コミュニケーションに注目し、ネガティブとポジティブの両側面から解明することである。 本年度はまず、紙媒体からオンラインの記事配信に比重を移しつつある新聞メディアを対象に、有権者への影響に関する多角的な考察に取り組んだ。その結果、2022年に実施したインターネット調査(サーベイ実験)のデータの分析などを通じ、新聞は現時点においても有権者の投票行動意図を形成するメディアであることが明らかになった。日本におけるオンライン上の政治コミュニケーションを考える上で、マスメディアを主たる分析対象とする意義が改めて確認されたと言える。また、これらの新たな分析を盛り込んだ単著の学術書を本年度中に出版することができた。 次に、本研究の実施計画にも示した「オンライン上の政治ニュースへの接触が、有権者の政治意識や行動に影響を与える可能性」を検証するべく、選挙期間中のデータジャーナリズム報道の影響力に関するオンライン・フィールド実験の分析に取り組んだ。具体的には、2021年衆院選時のフィールド実験の分析結果を学会報告したほか、2022年参院選時に新たにフィールド実験を実施し、データ分析を行った。 さらに、本研究の実施計画の1つである、ポータルサイト上の記事やユーザーコメントの分析に関しても研究に着手した。国内外のメディア心理学研究の文献を渉猟するともに、オンライン上のデータを収集する作業に取り組んだ。 加えて、有権者のマスメディア認識や不信の不均質性を明らかにするという本研究の実施計画に対応する形で、独自に実施した有権者調査データに基づく混合分布モデルの分析を行った。その結果、有権者のマスメディア認識の多様性の存在と党派性との関連が浮き彫りになり、本研究課題全体の方向性に自信を深めることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の実施計画として事前に設定した、「現代の有権者のマスメディア認識や不信の不均質性」「マスメディア報道に対する意見表出の類型と形成過程」「オンライン上の政治ニュースへの接触効果」のそれぞれに関して、具体的な計量分析やデータ収集作業に取り組み、研究全体をほぼ計画通りのペースで進めることができた。また、学会報告や研究書の出版を実現することができたのも今年度中の成果であった。
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今後の研究の推進方策 |
順調にスタートできた初年度の研究をさらに発展させるべく、次年度では研究実施計画の各パートを着実に進めていきたい。 具体的には、全国レベルの大規模なインターネット世論調査とサーベイ実験を複数回実施し、これまでに得られた分析結果の頑健性を客観的に検証するとともに、新たな仮説の分析に取り組んでいく予定である。オンライン上のデータ収集作業についても引き続き行っていき、独自のデータセットを構築した上で、機械学習を用いた計量テキスト分析やネットワーク分析で新たな知見を得ることを目指す。また、分析結果は学会や研究会などで報告するだけでなく、国内外の査読付き学術誌に投稿する段階まで持っていきたいと考える。
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