研究課題/領域番号 |
22K13336
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分06010:政治学関連
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研究機関 | 京都府立大学 |
研究代表者 |
秦 正樹 京都府立大学, 公共政策学部, 准教授 (10792567)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 敗者の合意 / 野党支持 / サーベイ実験 / テキストマイニング / 野党政治 / 政治的敗者 / ミニ野党の勃興 / 政党支持 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,日本において長期的に政権獲得の見込みがないまま続いている野党群を継続的に支持する野党支持者の政治心理的基盤に注目し,本来は支持していない(はずの)自民党を中心とした政府の正統性(敗者の合意)がどのように担保されているのか,その認識の形成メカニズムを明らかにする.本研究では,(1)立憲民主党や共産党など,個別の野党支持者における認識差を大規模WEB調査のテキストマイニングを通じて,さらに(2)選挙で敗北しても与党を正当なものと認める「敗者 の合意」がどのような要素で形成されるのかをサーベイ実験を通じて明らかにする.
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研究実績の概要 |
2023年度は,主に以下の2点を中心に研究に取り組んだ.一点目は,2022年度末に実施した10,000人の野党支持者(および無党派層)を対象とした調査(以下,野党調査と呼ぶ)の分析および研究報告である.とりわけ,野党調査の特徴であった政党支持理由に関するテキストデータ(自由記述)の分析に取り組んだ.具体的には,立憲民主党や日本維新の会といった大規模な野党支持者だけでなく,これまで明らかにされてこなかった参政党や旧NHK党,れいわ新選組といった小規模政党の支持者の支持メカニズムについても明らかにした.この成果は,2023年度の日本選挙学会において「誰が「NHKをぶっ壊」そうとしているのか?:ミニ政党支持に関する実証研究」として報告し,フィードバックを得た.現在,学会で得た意見や批判を踏まえ,報告論文のリバイズを行っている.2点目は,ここでの分析結果を踏まえて,2度目の調査とサーベイ実験の設計である.当初より「敗者の合意」に焦点をあてた実験を実施する予定であるため,その理論を改めて詳細に検討する作業に取り組んだ.特に,Anderson et al.,(2005)”Losers' Consent”を改めて精読し,そこでの理論的な問題点をあぶり出し,さらに実証的に検証するための実験デザインを考案した.現在は,考案した実験デザインについて,複数の研究者にアドバイスを求めてフィードバックを得た上で,プリ実験を行い,本実験に進む段階である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた研究計画のとおり,1万人の野党支持者調査の結果を学会で報告し,その論文化も進めている.この論文は,今年度の序盤には投稿を計画している.他方で,「敗者の合意」の調達条件に関するサーベイ実験については,本来であれば2023年度中に調査を実施する予定であったが,実験デザインに関するアドバイスを踏まえて,調整にやや時間を要し,プリ実験の段階である.とはいえ,この実験も今年度の上旬には倫理審査に申請し,速やかに実施する予定である.また,こちらの結果については2024年度日本政治学会での学会で報告することが既に内定している.以上のことから,概ね順調に進展しているといえる.
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は,野党調査に関する分析結果を早期に論文として投稿することを目指す.研究課題2「敗者の合意」の形成メカニズムの解明については,プリ実験の結果,概ね期待される実験デザインが一定程度完成したため,できるだけ早期に2000人程度の被験者を対象としたWEB上の本調査を実施する.その分析結果は2024年度の日本政治学会で報告することが既に内定しており,そこでのフィードバックを踏まえて,こちらも早期に英語で論文を執筆し投稿する予定である.
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