研究課題/領域番号 |
22K13345
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分06020:国際関係論関連
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研究機関 | 関西学院大学 (2023) 東京大学 (2022) |
研究代表者 |
藤田 将史 関西学院大学, 法学部, 助教 (80882878)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | Vienna Initiative / 金融危機 / 東欧 / 民間金融機関 / IMF / IMF(国際通貨基金) / 国際収支危機 / 国際組織 / 本人-代理人 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、国際金融危機で重要な役割を果たすIMFの政策に、誰の利益がどのように反映されるのか明らかにすることである。先行研究では、先進国政府が自国の民間金融機関(以後PFI: Private Financial Institutions)の利益を代表し、IMFに対し影響力を行使するというモデルが提示されてきた。しかしこの見解は、危機対応でPFIと政府が対立しがちになったという近年の変化を考慮していない。そこで本研究は、政府との対立が激化するに連れてPFIがIMFと直接協力し、IMFの政策に自身の利益を反映させているという仮説を提示する。そして、PFI-IMF間協力のデータセットを作成し定量的に分析することと、過程追跡を組み合わせて検証する。
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研究実績の概要 |
2023年度はVienna Initiative(以下VI)の過程追跡を進めた。まず、文書・資料調査については以下のように行った。最初に、なぜ銀行がVIの制度化された協調にコミットしたのかについて、VI自体や、European Bank for Reconstruction and Development(EBRD)、International Monetary Fund(IMF)等が作成したレポートやプレス・リリースを調査した。さらに、英語新聞の他、VIに参加した民間金融機関が位置する独・仏・伊・墺・瑞・白など各国の新聞資料を調査し、各民間金融機関が置かれていた政治・経済的状況について確認し、VIへの参加の背景・動機の手掛かりを収集した。加えて、VIで公的セクター側の代表として中心的役割を果たしたIMFの内部文書を、東欧危機中の理事会文書・議事録を中心に調査し、IMF側が民間金融機関とどのような協議を行い、民間金融機関側の動機をどのように認識していたか確認した。 その上で、主要銀行でVIを担当した役員・上級職員や、IMF側の担当者にインタビューを行い、銀行側の動機について当事者の証言を確認した。結果として、想定よりも幅広い動機がVI参加につながっていたことが明らかになり、仮説について若干の修正が必要になった。しかし、当初想定していた仮説の中心的要素については、おおむね実証に成功したものと考えている。すなわち、「IMFを利用して、母国・EUを含む公的主体間の集合行為問題を解決すること」が、民間金融機関のVI参加の動機であったというものである。 以上の成果は、2023年11月11日の日本国際政治学会2023年度研究大会(福岡国際会議場)で報告した。現在は論文としてまとめており、間もなく査読誌に投稿する予定である。可能な限り早く、出版につなげたいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度には計画の見直しが必要になったが、2年度目である2023年度には修正後の計画に従い、Vienna Initiativeについての調査を完了することができた。当初の計画でも、Vienna Initiativeの調査に2年間をかける予定だったため、おおよそ遅れを取り戻したと言える。よって、おおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画では、Vienna Initiativeの事例研究に加えて、民間金融機関-IMF間協力のデータセットを作成して計量分析を行う予定であった。よって、IMF文書館等で調査を行いつつ、データセットの作成のために情報収集を進めたいと考えている。 ただしこれまでの調査では、民間金融機関側がどの程度IMFに協力したかのデータが多数事例で思うように得られない可能性も示唆されている。その場合には、事例研究を通してさらに因果メカニズムを追究するなど、研究方法を修正しつつ成果を上げたい。
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