研究課題/領域番号 |
22K13360
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07010:理論経済学関連
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研究機関 | 東京電機大学 |
研究代表者 |
諸岡 千裕 東京電機大学, 理工学部, 助教 (90932210)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2023年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2022年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
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キーワード | 異時点間の利得移転 / 利得集合の特徴付け / フォーク定理 / 均衡利得の計算手続き / 繰り返しゲーム / 重複世代モデル / 動学的経済分析 / 世代間移転問題 / 均衡の効率性 |
研究開始時の研究の概要 |
繰り返しゲームのモデルのひとつである、重複世代繰り返しゲーム(Overlapping Generations Games、以下OLGゲーム)は、期間の経過に伴い社員が入れ替わっていく企業の分析などに適したモデルである。申請者はこれまで、プレイヤーの数が少ないOLGゲームでは、通常の繰り返しゲームでは得ることが出来ないような良い結果を実現できることを示した。本研究ではこの結果に基づき、OLGゲームの分析において残された課題の解決を試みる。具体的には、段階ゲームのプレイヤー数が多い場合の分析、利得の厳密な計算方法の定式化、処分可能なあらゆる利得の図示などに関連する研究に取り組む。
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研究実績の概要 |
2022年度の実績の概要については、下記の通りである。
段階ゲームのプレイヤー数が3人以上の、利得が割り引かれる重複世代ゲームについては、自身の先行研究によって示されていた、プレイヤー数が2人の場合の結果を一般化することで、ほぼ同様の結果を得られた。すなわち、段階ゲームのプレイヤー数が任意の重複世代ゲームで、プレイヤー達が、1回限りのプレイでは達成できないような高い利得を得られることを示せた。この成果を、東京大学経済学研究科附属日本経済国際共同研究センターのディスカッション・ペーパー・シリーズにて公開した(CIRJE-F-1203)。
上記の結果を得るためには、利得に依存して、割引率や参加期間等のパラメーターを適切に選ぶ必要があり、それらのパラメーターが固定されている場合、均衡の形状は不明のままだった。このような場合についても、より精密な分析をするため、浦項工科大学校(大韓民国)の金大賢(Daehyun Kim)助教授の助力も得つつ研究を行った。段階ゲームを囚人のジレンマに絞って分析を行い、均衡利得を計算するための具体的な手続きを部分的に示せた。その結果を、国際学会2022 Asian Meeting of the Econometric Society in East and South-East Asia(8月10日(水)慶応大学)にて英語で発表したほか、日本経済学会2022年度秋季大会(10月15日(土)慶応大学)でも、グレーヴァ香子教授と討論を行った。さらに、他の段階ゲームに対して同様の分析を行うための基礎となる、処分可能な利得の集合の計算についても分析を行い、集合の完全な特徴付けを示せた。この結果をまとめた論文を、3月にJournal of Economic Theoryに投稿した(4月現在、査読中)ほか、arXivにて公開した(arXiv:2303.12988)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要欄に記載の通り、初年度の計画に沿って、重複世代ゲームにおける均衡について、様々な角度から分析を行い、少なくとも2本の投稿可能な論文を執筆することができた。また、学会発表の際に聴衆から多くの有益なコメントを得ることができ、研究をさらに深めるための準備ができた。したがって、2023年度は、これらの論文を改訂した上で(再)投稿したり、その成果を国内外の学会において発表したりするための環境が整っている。
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今後の研究の推進方策 |
すでに執筆した論文については、その刊行に向けて、学会発表で聴衆から得たコメントや、研究協力者からの助言を取り入れた上で改訂を行い、できるだけ国際的評価が高い海外査読誌への投稿を目指す。なお、本研究課題と関連する今後の学会発表として、国際学会である2023 Africa Meeting of the Econometric Society(6月上旬)および、東京大学大学院経済学研究科附属日本経済国際共同研究センター主催・ミクロ経済学ワークショップ(7月18日(火))にて、英語で研究報告を行うことが決定している。
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