研究課題/領域番号 |
22K13367
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07010:理論経済学関連
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研究機関 | 高知工科大学 |
研究代表者 |
安井 佑太 高知工科大学, 経済・マネジメント学群, 講師 (90927047)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 偽レビュー / 寡占市場 / プラットフォーム市場 / レーティングシステム / レーティング / 電子商取引 |
研究開始時の研究の概要 |
カスタマーレビューに基づいたレーティングは電子商取引で中心的な役割を果たしているが、それを操作するためのサクラを用いた偽レビューが市場に蔓延している。本研究では、偽レビューの均衡でのパターンとそれに対する消費者の認識を実験室実験を用いて検証する。その結果に基づいてレーティングの計算方法や偽レビューに対する罰則を調整することで、消費者にとって利便性の高いレーティングシステムを構築することを目指す。
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研究実績の概要 |
本研究はオンライン市場における偽レビューについて、理論分析と実験による消費者行動の分析を行い、その分析結果に基づき消費者にとって利便性の高いレーティングシステムを構築することを目的としている。特に理論分析においては、(i)レーティングシステムの精度が販売者間の競争に与える影響と、(ii)販売者間の競争があった場合にどれだけ自社の評判を上げ、どれだけ他社の評判を下げようとするのかについて、それぞれ理論モデルを用いた分析をおこなっている。このうち、(i)についてはレーティングの精度が上がることで販売者の退出が促され余剰が低下する可能性があることを神奈川大学の原口純一氏との共著論文 “Impacts of Rating System on Platform Markets: Monopolistic Competition Approach”で示し、国内のワークショップ等で報告し多くのコメントを得た。こうしたコメントを反映し国際学術誌・国際学会に投稿した結果、国際学会での報告が採択された。また、(ii)販売者間の競争があった場合に偽レビューのパターンがどのように変わるかについては、グラスゴー大学の吉本久維氏との共著論文“Oligopoly Competition in Fake Reviews”が2024年夏の国際学会に採択され、またそのほかいくつかの国内・国外のワークショップで報告が予定されている。 また、実験計画の基となっている理論論文“Controlling Fake Reviews”について2023年度の国際学会で報告し、その際に実験の重要性とその際の方向性についてのコメントを得た。現在、得られたコメントを基に実験の設定を調整している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
理論研究においては当初計画以上の進捗があった一方、実験の実施が遅れている。理論分析においては、(i)レーティングシステムの精度が販売者間の競争に与える影響と、(ii)販売者間の競争があった場合にどれだけ自社の評判を上げ、どれだけ他社の評判を下げようとするのかについて、それぞれ理論モデルを用いた分析をおこなっている。このうち、(i)については神奈川大学の原口純一氏との共著論文 “Impacts of Rating System on Platform Markets: Monopolistic Competition Approach”をワークショップ等で報告し、2025年度の国際学会にも採択された。また、(ii)販売者間の競争があった場合に偽レビューのパターンがどのように変わるかについては、グラスゴー大学の吉本久維氏との共著論文“Oligopoly Competition in Fake Reviews”が2024年度の国際学会に採択され、またそのほかいくつかの国内・国外のワークショップで報告が予定されている。
実験室実験の実施に向けては、実験用フレームワークoTreeを用いてプロトタイプの実験プログラムを作成するなどの準備を行なった。ただ、学内の研究者に相談しながらプロトタイプを作成する中で、実験後のデータ分析方法を明確化してそれに合わせて実験方法を調整する必要性を感じたため、今のところは被験者を用いての実験は実施せずにデータ分析手法の検討をおこなっている。データ分析手法におけるボトルネックは、消費者が特定のレーティングを観測した時にそれを消費者がどのように評価するかに関するモデリングである。これについては、安井が参加した国際学会(IIOC, 2023)で関連する実証研究が報告されており、その手法を応用した分析できないかを検討している。
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今後の研究の推進方策 |
理論研究については、現在までにモデリングを進めている(i)レーティングシステムの精度が販売者間の競争に与える影響と、(ii)販売者間の競争があった場合にどれだけ自社の評判を上げ、どれだけ他社の評判を下げようとするのかに関する研究を論文として執筆・改訂を行い、原口氏との共著論文に関しては研究期間内の国際学術誌掲載を目指し、吉本氏との共著論文に関しては研究期間内の国際学術誌投稿を目指す。また、実験設定に深くかかわる(iii)販売者のプラットフォーム市場への参入・退出がある場合の偽レビューについてのモデリングも進めていく。 実験室実験の実施については、(i)データ分析の手法を定め、(ii)実験プログラムを調整し、(iii)実験のシミュレーションを行い、(iv)シミュレーションによる疑似的データに対してデータ分析を行うことで適切な分析結果が出力されるかの検証をおこなう、というプロセスを繰り返す必要がある。
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