研究課題/領域番号 |
22K13374
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07030:経済統計関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
入江 薫 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 准教授 (20789169)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | ロバスト統計 / 計数データ / 関数データ解析 / ベイズ統計学 / 行列分布 / 確率論 / 分布論 / 状態空間モデル |
研究開始時の研究の概要 |
極端な値をとる少数のデータは異常値と呼ばれ、データ分析の結果に大きく影響することが知られている。データ分析の結果を異常値から保護するには、異常値の存在を事前に想定する、つまり異常値を発生させうる確率分布が必要である。よく知られたスチューデントのt分布はその例であるが、分析結果を完全に頑健にするには不十分である。本研究では新たな確率分布を考察することで頑健なデータ分析を目指す。そのために、すでに考案された確率分布を広く、統一的に調べる理論的研究を予定している。これには海外の研究者を含めた多くの研究者との共同作業と意見交換が必要であり、国際学会への参加や研究打ち合わせを通じて、研究を進展させる。
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研究実績の概要 |
昨年度から継続中の研究を進展させるとともに、新たな研究プロジェクトに着手することができた。 異常値に対して頑健な計数データの事後分析に関する共同研究については、投稿していた学術誌からの改訂要求に沿って、追加の考察と分析を行った。特に、類似の統計手法を追加で検討し、提案手法の優位性についてより厳密に検証した。再投稿ののち、年度終了間際に再現性チェックのみの再改定要求があり、出版にむけて引き続き取り組む予定である。 関数時系列データへの応用の研究については論文がScandinavian Journal of Statistics誌に受理された。これを受けて、年度中旬より関数時系列データに関する新たな研究に取り組みはじめた。データの背後にある関数を推定するにあたり、関数形について何らかの事前の情報がある場合が多い。たとえば、所得の不平等を測るローレンツ曲線は単調増加性や端点条件を満たすことが知られている。このような状況では、関数が指定の制約を満たすように推定量を構成する必要があり、そのような関数を生成するような確率分布を事前分布として用いる必要がある。この新たな研究において、我々はポリア・ガンマ分布と呼ばれる分布を活用した事後分布の計算方法を検討した。研究成果はすでにarXivで公表済みであるが、現在は学術誌での査読に耐えうる内容にするために、所得分布の研究者への相談や研究発表を行っており、次年度中の投稿を目指す。 昨年度に開始した行列引数の一般化逆ガウス分布からの乱数生成法に関する研究については論文がJournal of Computational and Graphical Statistics誌に受理された。そもそも、本研究は異常値に対して頑健な統計分析のために必要な「手段」に過ぎないため、この成果をロバスト統計の研究に活かしていくことが次年度以降の課題となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初予定していた研究計画のほとんどで、論文を国際学術誌に投稿し、改訂要求や受理の決定を受ける段階にまで至っている。追加の新規の研究プロジェクトを始める余裕もあることから、期待していた以上の進捗があったと考える。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度と同様に、複数の研究プロジェクトを平行して進めていくつもりである。計数データの頑健な事後分析については、次年度のはじめには残りの改訂が終わり、うまくいけば次年度中に受理が決定すると考えている。新たな研究プロジェクトのうち、行列分布とロバスト統計に関するものについては、いまだ研究の初期段階にあるため、共同研究者との議論を密にして研究を進展させていく予定である。また、比較的短い期間で論文を順調に出版できていることは喜ばしいことであるが、研究発表を行う機会が少なかったため、完了した研究についても各種研究集会にて発表を行っていく予定である。繰り越した予算を用いて、対面での開催が増えた国際学会に積極的に参加する。
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