研究課題/領域番号 |
22K13375
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07030:経済統計関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
伊藤 翼 北海道大学, 公共政策学連携研究部, 准教授 (90849001)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 分位点回帰 / クラスタリング / 不均一性 |
研究開始時の研究の概要 |
回帰係数が個体ごとに異なりうる状況でのパネルデータや経時測定データに対する分位点回帰問題について、同一個体からの観測値の相関構造を考慮した手法を考案する。個体は有限個のグループに分割され、同じグループに属する個体は同じ回帰係数を共有することを想定し、グループ数の決定、各個体が属するグループの同定、および各グループにおける回帰係数の推定を同時に行うためのアルゴリズムを考案する。さらに、提案する推定手法の統計学的な性質を考察する。最後に、数値実験と実データ解析により、提案手法の有用性を示すことを目的とする。
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研究実績の概要 |
前年度に引き続き、パネルデータを構成する個体ごとに回帰係数が異なっている分位点回帰問題において、同一個体からの観測値がもつ相関構造を考慮したうえでパラメータを推定する手法を考えた。前年度と同様に、個体は有限個のグループに分割され、同じグループに属する個体は同じ回帰係数を共有するといったモデルを考え、グループ数の推定・各個体が属するグループの同定・各グループにおける回帰係数の推定を同時に行うためのアルゴリズムの考案を最終目標に研究を行い、残った課題を進めていたが、特にこれまでの理論的研究に誤りがあることを発見したため、今年度はその修正を行った。具体的には、パラメータを推定するための損失関数のある関数への漸近的な収束とその収束レートの評価を誤っていたが、その原因は、本研究では同一個体からの観測値が時系列相関をもっている分位点回帰を考えているため、標準的な回帰問題における二乗損失誤差のような連続な損失関数や観測値の独立性を前提にした標準的な近似手法を用いることができないということであった。しかし、目的関数が連続ではなく、また時系列相関が存在する場合の収束レートを評価するための理論的結果を考察した先行研究を見つけることができたため、それを利用することで修正することができた。さらに以上の結果を用いて、グループの構造がわかっている場合の提案した目的関数を最適化することでえられる回帰係数の推定量が一致性をもつことについては示すことができ、原稿にまとめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「研究実績の概要」で述べた通り、今年度は前年度までの研究結果の誤りの修正に時間を要した。そのため、グループの構造がわかっている場合の回帰係数の推定量が一致性をもつことについては示すことができたが、その他の理論的研究として、推定量の漸近正規性や目的関数のなかの罰則項のチューニングパラメータの値の選択を決めるための規準を提案し、それによって真のグループ数が一致推定できることを示す必要が残っている。 また、数値実験による提案手法のパフォーマンスの確認や実データ解析への応用など解決すべき課題が多く残っているため、やや遅れていると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
「現在までの進捗状況」で述べた通り、理論的研究としては、グループの構造がわかっている場合の回帰係数の推定量の漸近正規性を評価し、次にグループの構造がわかっていない場合に罰則項を加えた目的関数の最適解がグループの構造がわかっている場合の最適解に収束することを示す必要がある。また、本年度の「今後の研究の推進方策」と同様に、罰則項にかかるチューニングパラメータの値の選択を決めるための規準をBIC型の情報量基準をもとに提案し、それによって真のグループ数が一致推定できることを示す。さらに、数値実験による提案手法のパフォーマンスの確認や実データ解析への応用を行う。
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