研究課題/領域番号 |
22K13386
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07040:経済政策関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
塚本 瞬 名古屋大学, 経済学研究科, 学術研究員 (60907012)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | プラットフォーム / 二面市場 / 両面市場 / 特性の異質性 / 多様性 |
研究開始時の研究の概要 |
経済主体間のやり取りを仲介する財・サービスの一種である「プラットフォーム」の市場について、潜在的ユーザー(プラットフォームの利用を考えている経済主体)の特性の異質性に着目した研究を行う。本研究の意義は、多様な経済主体が共存している現実社会を念頭に置いた上で、プラットフォームの各種戦略や潜在的ユーザーの活動状況について議論するとともに、これを政策的観点から考察することができるところにある。研究内容については、プラットフォーム産業に関する諸研究が中心となる見込みであるが、理論上プラットフォームと解釈できる他の財・サービス(法制度、社会現象などを含む)に関する研究も視野に入れている。
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研究実績の概要 |
2023年度は、2022年度報告書で「投稿準備段階の論文」と称していた計3本の単著論文に係る研究を進めていくとともに、新たな研究も随時行っていくこととした。重複を避けるため、詳細は2022年度報告書を参照されたい。本項目では、2023年度の研究活動のうち、進展が明白であるものについて報告する。 まず、前者の3論文に係る2023年度の実績を説明する。B-to-B型のプラットフォームが消費者から取得する個人情報の量と消費者に提示する企業情報の量を任意に調節することができる独占二面市場に関する理論研究("Information Quantity and Intermediation Targetability in Two-Sided Markets")につき、分野横断型の国際学会における研究報告を行った。また、潜在的ユーザーの一部がプラットフォームの参加者数について偏った予想を形成する複占二面市場に関する理論研究("Two-Sided Platform Competition with Biased Expectations")につき、原稿の英文校正を受けた。 新たな研究に関しては、他の研究者2名が学術誌に掲載した生成AIについての理論研究に対するコメント論文に取り組み始めた。元論文については、リサーチクエスチョンやモデルの観点では本研究課題と本質的な関連があるとはいいにくいが、コンテキストとしては本研究課題との関連は深いものといえるため、当コメント論文も本研究課題の範囲に入るものと判断している。なお、元論文の著者からは情報公開の許諾を得ているが、コメント論文に係る投稿歴、研究報告歴、研究費使用歴などはまだ存在しないため、今回は詳細の記述を省略したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
まず、2022年度報告書で「投稿準備段階の論文」と称していた論文に関する進捗状況を説明する。論文1本につき国際学会での研究報告を行ったこと、他の論文1本につき原稿の英文校正を受けたことから、ある程度は前進したものといえるが、2023年度内の学術誌投稿を達成した論文は(速やかな達成が見込まれる論文も)皆無となった。これら3論文に係る2022年度初頭(交付期間初日)の状況を踏まえると、著しい遅れが生じているものと考えざるを得ない。 2023年度に新しく開始した研究としては、コメント論文1件を挙げることができる。その性質から比較的早期のうちに学術誌に投稿し、掲載されることが見込まれるため、相応の進展があったものと判断している。一方で、新たに取り組む研究に関しては、当初から共著論文の執筆も視野に入れながら様々な可能性を模索してきたが、2023年度はこの線での研究実績を挙げることができなかった。 本研究課題は、プラットフォーム市場における近年のビジネスモデルと各種政策を特性の異質性という視点を織り込みながら産業組織論の手法で検討する研究群と、プラットフォームの概念を広く捉えることによって経済主体の多様性が重要な意味を持つ諸問題にプラットフォームの観点から取り組む研究群の2本柱で進めている。より広い範囲にわたるトピックを研究対象とするためには、研究代表者が現に有する知識・経験では不十分と思われる領域につき、それを専門とする他の研究者の協力を得たいところである。よって、2023年度に共著論文の研究実績を挙げられなかったことは、本研究課題の遅れを示すものといえる。 上記の事情を踏まえると、多少の進展はあったものの、肯定的な評価ができるほどの進展とは考えにくいため、進捗状況の区分は4とした。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度末時点の進捗状況を考慮しつつも、基本的には2023年度と同様の方針で研究を進める。まず、2023年度末の時点で取り組んでいた計4本の単著論文(学術誌掲載を前提としていることから、以下これらを「学術誌未掲載の4論文」と総称する)につき、それぞれの進み具合に応じた研究を行っていく。さらに、新たな研究についても、単独研究・共同研究の双方を視野に入れながら随時の検討に取り組み、論文を執筆できる程度まで構想がまとまったものから研究を進めていく(これに分類される研究を「新規研究」と称する)。 学術誌未掲載の4論文に関する具体的な研究方針は、次のとおりである。第1に、いずれの論文も、早期のうちに学術誌に投稿し、掲載されることを念頭に置いて取り組んでいく。4論文のうち2022年度報告書で「投稿準備段階の論文」と称していたものについては、英文校正を受けた論文はその校正原稿の検討から、それ以外の論文は英文校正を依頼できる状態まで仕上げるために行う原稿の推敲から開始し、その後も順次それぞれの研究を進めていくことになる。コメント論文については、2023年度末の時点で一旦書き上げているため、原稿を推敲するところから開始し、以後こちらも順次進めていく。また、このような段階にあっても、各論文の意義を可能な限り高めていくという観点では、学会、セミナーなどにおける研究報告の重要性は変わらないため、その時点での進展状況を踏まえながら、適宜の研究報告も行っていきたい。 なお、学会報告、セミナー報告などについては、2022年度報告書に記載したとおり、リモート報告を中心に予定している。ただし、これは、対面報告の選択肢を考慮しないという趣旨ではない。とりわけ、新規研究として共同研究に取り組むこととなった場合において、共著者が研究協力者として対面報告を行う可能性は大いにある。
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