研究課題/領域番号 |
22K13388
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07040:経済政策関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
加藤 隼人 大阪大学, 大学院経済学研究科, 准教授 (30837703)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 多国籍企業 / 利潤移転 / 国際法人課税 / 租税条約 / 外国子会社配当益金不算入制度 / 企業内ネットワーク / 移転価格 / 無形資産 |
研究開始時の研究の概要 |
1990年代より公共経済・国際課税の分野において、多国籍企業の税引き前利潤が立地先の法人税率の変化に対してどの程度反応するかが研究されてきた。先行研究は細かな企業レベルのデータを用いて親・子会社の利潤移転の程度を推定しているが、企業グループ内の移転の経路は明らかにされていない。他方、国際貿易分野においては、独立企業間・多国籍企業内の生産ネットワークに関する研究がなされてきた。多くの研究は財取引の分析に集中しており、法人税の影響やネットワークを通じた利潤移転行動には関心が払われていない。これらを組み合わせ本研究は多国籍企業グループはいかなる経路・手段で、どの程度利潤移転を行うのかを明らかにする。
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研究実績の概要 |
本年度は主として以下の研究課題に取り組んだ。 ・二国間の租税条約が利潤移転に与える影響について 二国間で租税条約が結ばれる目的は2つあり、国外で得た所得の二重課税を排除すること、法人・個人による租税回避を防止することである。例えば多国籍企業に対して、二国で居住地主義・源泉主義の課税方式が異なる場合や、課税する権利が親企業・子会社どちらの立地する国にあるのか・課税される利潤はどこまでかが不明確である場合、ある利潤に対して重複して課税される恐れが生じる。課税する権利の濫用を防ぎ、また多国籍企業の海外進出を促すために、租税条約により両国が課税を抑制させる。一方で課税される状況が明確になり、課税そのものが抑制されると多国籍企業は節税対策がしやすくなり、当局の想定する範囲を超えた過度な節税対策(=利潤移転)を行う可能性がある。こうした課税ベースの縮小に対処するために、納税者の情報交換協定などを租税条約に盛り込むことが一般的である。このように租税条約は利潤移転を促進する効果と抑制する効果の両方をもち、いずれが優越するかは一見して明らかではない。本研究課題では、多数国での利潤移転を描写した理論モデルを構築し、日本の親企業・子会社データを用いて租税条約が利潤移転に与える影響を実証的・定量的に評価を行った。租税条約締結・施行が利潤移転に与えた影響が、2009年(平成21年)から導入された外国子会社配当益金不算入制度によっていかに変化したのかという点に着目した分析も行った。ドイツを中心とする欧州・米国でのセミナーや学会で研究の途中成果の報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は当初に想定していたように、複数国に立地する多国籍企業の利潤移転行動を理論的・実証的に分析することができた。国際経済学・公共経済学にかんする国外セミナー・学会での報告通じて、隣接分野の研究者から有益な助言・質問を得ることができ、今後の研究の方向性をより明確にすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は今年度に取り組んだ課題の改善・完成に取り組む。Disucussion paper として研究成果の公表を行うとともに、査読付き国際学術誌へ投稿し公刊を目指す。
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