研究課題/領域番号 |
22K13409
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07040:経済政策関連
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研究機関 | 京都先端科学大学 (2023) 京都経済短期大学 (2022) |
研究代表者 |
濱口 喜広 京都先端科学大学, 経済経営学部, 講師 (10804114)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 汚染逃避地仮説 / ポーター仮説 / 水質汚染逃避地仮説 / 環境脱税 / 二重規制 / 譲渡可能個別漁獲割当制度 / レントシーキング / 持続可能な発展 / ウォーターベッド効果 / R&Dスピルオーバー / 内生的成長論 / 環境政策 / 国境税調整 / 貿易と環境 |
研究開始時の研究の概要 |
気候変動サミットを契機として、国際協調の下で、温室効果ガスの削減が進められている。しかし、二酸化炭素集約的産業で働く労働者は失業する可能性がある上、汚職が蔓延する国では賄賂を通じた環境脱税が頻発しており、環境政策への反発を招いている。EU諸国は国境税調整や二重規制の導入を進めているが、保護貿易を目的とした貿易政策として活用される恐れもある。これらの環境政策が温室効果ガスの排出や不平等を拡大した場合、環境政策に対する市民の信頼が損なわれてしまう。この信頼を醸成すべく、グローバル経済下での環境政策が、温室効果ガスの排出に加え、経済成長や国際貿易に与える影響を明らかにすることが、本研究の目的である。
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研究実績の概要 |
今年度の研究実績として、研究計画書に記載した研究に加え、幾つかの関連研究を行ったことが挙げられる。その主な実績を、以下3点に要約している。
(1)単著論文3本が、査読付き国際学術誌に掲載された。一つ目は、Econ Anal Policyに掲載された論文であり、輸出企業に対する環境増税が経済成長と汚染削減という弱いポーター仮説をもたらすと共に、輸出企業による環境脱税がポーター仮説の統計学的有意性が低い要因であると指摘している。二つ目は、China & World Econに掲載された論文であり、環境税と排出権取引の二重規制が汚染と生産性に与える影響を分析し、経済厚生の観点から、単一規制から二重規制への移行が望ましいことを示唆している。三つ目は、Environ Dev Sustainに掲載された論文であり、レントシーキング下の漁業資源管理制度と水産企業による廃水を考慮して、発展途上国における緩い漁業資源管理により、水産企業がその途上国に立地してしまい、廃水の増加による資源劣化をもたらすことを明らかにした。 (2)国際共同研究により完成した論文を査読付き国際学術誌に投稿中である。現在、理論分析で得られた結果を実証分析で検証する共同研究を進めている。次に、本研究課題の中核を成す国境税調整に関する論文が、査読付き国際学術誌より改訂要求を受け、改訂稿の査読中である。更に、今年度の国際会議で報告した環境金融政策に関する論文が、査読付き国際学術誌より改訂要求を受け、現在、改訂稿の査読中である。 (3)査読付き国際会議において計5回の研究報告を行い、2024年に開催予定の国際会議においても計3回の研究報告が受理された。これらの報告は、関連誌への論文掲載に加え、公刊済み論文の引用件数や国際共同研究の依頼へと結びつくことから、次年度以降もより精力的に行い、国際的な研究ネットワークの構築に勤しみたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
今年度は、昨年度の準備状況を踏まえ、精力的に国際学術誌への論文投稿や国際会議での研究報告を行った。その結果、研究実績の概要に記載した成果を挙げた。その上、国際会議での研究報告により、被引用件数も着実に増えつつある。研究者としての国際的な認知度も徐々に高くなり、国際会議や分担執筆の依頼を受けるようになりつつある。このようにして、国際水準の研究業績を挙げると同時に、国際的な研究ネットワークを構築しつつある。 他方、本研究課題の中核を成す論文が改訂稿の査読中となり、その掲載が目前に迫ってきた。特に、国際会議で複数回報告した環境金融政策に関する論文は、参加者による有益なコメントを踏まえて改訂した結果、査読付き国際学術誌より短期間の内に改訂要求を受けることができた。その他の関連研究も同様である。研究課題の申請時に予定した研究に加え、その他の関連研究も、論文公刊と言う形でその完成を迎えつつある。以上のことから、当初の計画以上に研究が進んでいると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究計画を、以下5点に要約している。 (1)査読付き国際学術誌から改訂要求を受けている中核的研究に関しては、改訂稿が査読中の為、公刊につなげるよう最善を尽くす。加えて、査読付き国際学術誌から改訂要求を受けている関連研究に関しても、改訂稿が査読中の為、公刊につなげるよう最善を尽くす。その上で、現在、改訂要求を受けている論文については、査読者コメントに基づいた改訂を行った上で、再投稿し、その公刊を目指す。 (2)2023年に行った関連研究を、国内学会や国際会議で報告した上で、論文の改訂作業を行い、2024年度中に査読付き国際学術誌へ投稿できるようにする。 (3)今後、研究が進展すると見込まれる研究課題や分野を見極めた上で、その課題に応える研究課題に取り組み、幾つかの経済モデルを構築する。 (4)国際会議での研究報告を精力的に行うことにより、研究者としての世界的な認知度を引き上げ、公刊済み論文の被引用件数獲得へとつなげる。加えて、その中で培った研究者ネットワークを活用することにより、新たな国際共同研究や査読付き分担執筆へとつなげていく。 (5)科学研究費助成事業によって得られた研究成果を、一般社会に還元する方策について検討する。特に、今までの研究成果を書籍としてまとめ、体系的な知識に昇華できる方法を模索する。
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