研究課題/領域番号 |
22K13420
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07050:公共経済および労働経済関連
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
佐藤 香織 明治大学, 商学部, 専任准教授 (90806431)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 労働時間 / メンタルヘルス / 内部労働市場 / 人的資本投資 / 360度評価 / 企業データ |
研究開始時の研究の概要 |
健康や非認知能力などの新しい一般的人的資本と労働生産性との関係が注目されているが、これらの新しい能力への企業の効率的な投資方法や労働者の多面的能力の評価方法については研究が進んでいない。 本研究は企業内データを用いて、①労働者のメンタルヘルスに対する長時間労働の長期的な影響と個人属性や職種による影響の異質性の検証、②企業の非認知能力訓練の効果検証、③管理職の360度評価の有効性の検証を行う。 企業内データに含まれる個人と職場、制度に関する豊富な情報を利用した精緻な推定を行い、健康施策や研修・評価制度、労働時間規制等への知見の提供を通じて企業の一般的人的資本投資の効率上昇に貢献することを目指す。
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研究実績の概要 |
本研究は企業内データを用いて、①労働者のメンタルヘルスに対する長時間労働の長期的な影響と個人属性や職種による影響の異質性の検証、②企業の非認知訓練の効果検証、③管理職の360度評価の有効性の検証を行う。企業内データに含まれる個人と職場、制度に関する豊富な情報を利用した精緻な推定を行い、企業の健康施策や研修・評価制度、労働時間規制等への知見を提供することを目指す。 今年度は上記の3つのうち「①労働者のメンタルヘルスに対する長時間労働の長期的な影響と個人属性や職種による影響の異質性の検証」を実施した。具体的には、独立行政法人経済産業研究所におけるプロジェクト「人事施策の生産性効果と経営の質」より提供された日本の大手製造業C-Dur社の人事データを用いて、労働時間が労働者のメンタルヘルスに与える長期的な影響、及び、労働時間の影響に性別や性格特性等の労働者属性と職種による異質性が存在するかどうかを、固定効果モデルやハウスマン・テイラーモデルを用いて推定した。一部の推定についてはまだ継続中ではあるものの、それらが完了次第、成果を論文にまとめ、学会発表や専門誌への投稿を行う予定である。 本研究の意義としては、多くの先行研究では長時間労働の短期的な影響を検証しているため、長期的な影響を明らかにすることは労働時間規制のあり方について新たな示唆を提供できる点にある。また、労働による負荷の影響の異質性を明らかにすることは、どのような属性集団に対して重点的にストレス対策をすればよいのかという知見の提供につながり、企業が持つ労働者や職場の情報を活用して健康投資の効率を上げられる可能性を示唆できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
分析対象の従業員サンプルデータに関して、サンプルセレクションバイアスによる歪みが生じている可能性を指摘されたため、歪みを補正するための推定手法について検討、及び追加の分析を実施する必要があり、分析の進行に遅れが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
「①労働者のメンタルヘルスに対する長時間労働の長期的な影響と個人属性や職種による影響の異質性の検証」に関しては、分析対象サンプルのサンプルセレクションの問題に対応するために、予定外の時間が必要となり進捗が遅れたが、現在は大方の分析は完了している状況である。そのため、今後は残りの分析が完了次第、論文の形にまとめ、学会発表や専門誌への投稿へ進む予定である。その後、「②企業の非認知訓練の効果検証」及び「③管理職の360度評価の有効性の検証」へと順次、実施する予定である。
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