研究課題/領域番号 |
22K13430
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07060:金融およびファイナンス関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
酒本 隆太 岡山大学, 社会文化科学学域, 准教授 (50880275)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 長期リスク / 異時点間のCAPM / モメンタム / バリュー / ファクター投資 / ベーシス / 不確実性 / 仮想通貨 / 相関 / リスクプレミアム / アウトプットギャップ / リスクファクター / CAPM / 通貨ポートフォリオ / 効用関数 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では金融市場において、投資家の意思決定という観点から以下の2点を検証することを目的とする。1点目は異時点間のCAPM(ICAPM)においてリスクファクターの長期リスクプレミアムを推定することである。2点目は為替の投資戦略の予測モデルを構築し、投資戦略を組み合わせた場合の有効性を検証することである。為替の投資戦略は、応用性の高さに比べて、アカデミックな研究はさほど進んでいない。その現状を踏まえ、本研究では投資戦略の組み合わせについて着目する。
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研究実績の概要 |
本年度は2本の国際査読雑誌を発表することができた(うちABS3が1本、SJRQ1が2本)。加えて6本のワーキングペーパーが完成した。Sakemoto (2023)では国際株式ポートフォリオの期待リターンと長期リスクの関係を異時点間のCAPMのフレームワークで検証した。その結果、長期バリューリスクは期待リターンと正の関係があり、長期モメンタムリスクは期待リターンと負の関係があることが明らかになった。この結果は米国を除いた国際ポートフォリオでより顕著な傾向となる。さらにCOVID-19に伴う市場の混乱期のデータを含めると上記の結果は弱まった。これはCOVID-19に伴う市場の混乱は、2008年のグローバル金融危機とは異なる構造を持つことが示唆される。 Nakagawa and Sakemoto (2023)ではCOVID-19に伴う市場の混乱後に生じて世界的なインフレーションの影響をヘッジする方法を提案した。コモディティがインフレーションのヘッジになるかは議論が分かれている。本研究ではコモディティ先物を保有するだけではなく、コモディティ先物よりも高いシャープレシオが期待されるコモディティ先物のファクターポートフォリオ(例 モメンタムやベーシス)などでインフレーションをヘッジできるかを検証した。その結果、モメンタムやベーシスモメンタム、さらには複数の戦略を組み合わせた場合はインフレーションショックをヘッジ可能であることを示した。この結果はコモディティ先物ファクターポートフォリオを用いることにより、高いリスク当たりリターンだけでなく、インフレーションのヘッジが可能であることを示している。本研究の内容は金融機関のリスク管理や投資戦略へ応用されることが期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本プロジェクトでは毎年、研究成果を出すことができている。現在、改訂中の論文、Nakagawa and Sakemoto (2024) では各ファクター間の相関や論文の仮説を明確化することを求められているため、対応を行っている。またSakemoto (2023)ではqファクターモデルの解釈の明確化やリスク価格のパラメータの解釈についての説明を求められているため対応を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
Asano, Cai, and Sakemoto (2023)では株式市場の時系列ファクターからambiguityを推定し、景気循環との関係を検証した。今後はこの手法を通貨ポートフォリオのクロスセクションの文脈に応用することを考えている。Menkhoff et al. (JF2012)ではクロスセクションのボラティリティが通貨キャリーポートフォリオの価格変動を説明できることを示したが、クロスセクションのambiguityと通貨ポートフォリオの価格変動の分析を現在行っている。 加えてNakagawa and Sakemoto (2024)ではコモディティ先物のファクター投資の分析を行った。これを社債市場に応用することを現在行っている。Nakagawa and Sakemoto (2024)ではファクターポートフォリオの組み合わせを行うことによりリスク当たりリターンが改善したが、社債でも同じことが言えるのかを検証している。また国ごとの社債ファクターの有効性の違いも検証を進めている。
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