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株式市場における潜在的な相関構造に基づく銘柄分類手法の開発と株価変動分析への応用

研究課題

研究課題/領域番号 22K13431
研究種目

若手研究

配分区分基金
審査区分 小区分07060:金融およびファイナンス関連
研究機関東京都立大学

研究代表者

磯貝 孝  東京都立大学, 経営学研究科, 客員研究員 (20782791)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
キーワード株価 / データ分析 / 時系列データ / クラスタリング
研究開始時の研究の概要

多数の銘柄からなる株式市場において投資ポートフォリオの構築・リスク管理を効率的に行うには、株価変動の相関構造に関する正確な理解が不可欠な要素となる。一方で、株価の相関構造は、銘柄数の多さ故に伝統的な統計的手法による相関構造の把握は技術的に難しい。
本研究では、従来の経済分析手法に加えて機械学習の手法を積極的に用いることでこの課題を克服し、株価データから直接銘柄のグルーピングを得る手法を確立する。さらに得られた銘柄分類をデータの次元圧縮に応用することで個別銘柄の相互依存関係を含めた時系列変動の分析手法の提案とその実務的応用を目指す。

研究実績の概要

今年度は、初年度に構築に着手した分析用のデータベースシステムの整備に引き続き時間を割いた。時系列データをSQLデータベースに格納し、複数のPCで分散処理を行うための環境を構築する作業は初年度から継続し、今年度も細かな仕様の変更による追加作業や格納データの変更・追加などの作業を行うのにかなりの時間を費やした。
格納データは株価の時系列データや上場企業の財務データなどであり、これらのデータを使って上場株式の銘柄間の株価変動に関するネットワーク構造を構築できるシステムについて、各処理の段階を自動化する仕組みを新たに導入し、分析の時間効率の向上を図った。
個別銘柄をノードとする相関ネットワークを構築する際に必要な銘柄間相関の計算においては、時系列モデルによるスムージング処理を行い、強い相場変動による相関への影響を制御している。こうした事前処理の必要性は、同じ分野の最近の研究でも重視されるようになっており、当方の論文が引用されるケースも増えているようである。
上場銘柄全体を対象とする比較的大規模な相関ネットワークにおけるローカルおよびグローバルな構造を把握することが研究の第一義的な目標であり、本研究では、ネットワーク理論に基づく従来の分析を拡張するとともに、深層学習を応用した分析手法を新たに組み込むことを目指している。
今年度は、初年度に行ったオートエンコーダーのネットワーク構造データへの応用を始めとして他分野における先行研究のサーベイに基づき、本研究への具体的な応用の方法を検討した。グラフ構造を有するデータのクラスタリング分析や次元圧縮などで深層学習が近年幅広く応用されるようになっており、本研究が扱う相関ネットワークにおいても、いわゆるAI的な手法を応用することが可能である。現在、こうした応用分析の可能性について最近の先行研究のサーベイ結果をもとに複数の手法の実現可能性を研究している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

初年度にネットワーク構造を有するデータに関する深層学習を用いた先行研究の整理に想定以上に時間を要した。今年度も、関連する様々な課題が明らかになったため、カバーする先行研究の分野を広げて、時間をかけて理論面および実装面での諸課題の検討を継続した。
経済時系列分析によく用いられるLSTMなど通常の深層学習の手法と比べて、ネットワーク構造を有するデータへの深層学習の応用はかなり異なる側面があるため、機械学習の枠組みを本課題に即した考え方に置き換える必要がある。この分野は未だ発展途上の研究分野であり、そうした応用例を研究した先行研究はそれほど多くないようであるが、より視野を広げて応用可能性を探る必要がある。
さらに、近年目立った応用の拡張をみている生成AIの手法についても、本研究への応用を視野に、分類問題や最適化問題などにおいてどのような具体的な応用が可能なのか、実装を視野において、多角的な検討を開始した。この作業に当初計画対比で大幅に時間を要しており、今後もさらにこの分野の作業を継続するため時間的には後ズレが予想される。

今後の研究の推進方策

新分野における先行研究のサーベイ、情報整理を継続し本研究課題への具体的な応用の方向性を探索する。同時に、これまでよりも大きなサイズのネットワークデータを扱えるようにするため、各種処理の自動化を含めて分析環境を再構築し、より柔軟で高速なシミュレーション等の分析を行えるようにする。先行研究の分析に関しては、従来の最適化アプローチを基本的に維持しつつ、深層学習の枠組みに置き換える研究例がいくつか存在しており、そうした先行研究の結果をベースに本研究課題に即した手法が開発できないか引き続き検討を進める。ヒューリスティックな手法によるグラフ分割は実用面では十分な機能度を発揮しているが、全く別な手法によるグラフ分割が実現できれば、従来手法との比較考量分析が可能となり、従来手法の一段の高度化も可能となるかもしれない。従来の手法と新しい手法の併用も視野に入れて、深層学習ベースの分割手法を構築することを目指す。さらに、生成AIの手法の応用についても、シミュレーション分野を中心に具体的な応用のあり方を探っていく。
研究環境の再構築に関しては、データ格納のための領域拡張や計算処理速度の改善を目指してソフトウェア、ハードウェアともに改善していく計画である。同時に深層学習関連の計算環境の再構築も進めることも引き続き検討している。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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