研究課題/領域番号 |
22K13438
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07070:経済史関連
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研究機関 | 奈良県立大学 |
研究代表者 |
山部 洋幸 奈良県立大学, 地域創造学部, 准教授 (90785859)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2025年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2024年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
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キーワード | 自転車 / 戦間期 / 国際比較 / モジュール化・規格化・標準化 / 後発優位性 / 経営史 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では戦前の大阪の自転車産業を題材にいかにして海外市場開拓がすすめられ、一時期の日本における機械器具工業輸品目のトップにまで至ったのか、明らかにすることで産業発展の仕組みを考察する。その目的は従来研究が進められていない製品設計の規格統一という経営活動が産業発展にどのような影響をもたらすのか史的に検討する。本研究によって技術力の向上にとどまらない産業発展の仕組みの一端が明らかになると考えられる。
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研究実績の概要 |
本研究は戦間期の日英の自転車産業を対象に国際的な比較を通じて、互換性を持った製品設計への規格統一(モジュール化)へと至るプロセスおよびメカニズム、そして、その後の国際市場の状況を明らかにすることである。具体的には、(1)戦前におけるモジュール化という経営活動から、日本の経営史の一端を描き出す。(2)モジュール化がいかにして起こるのか、そのプロセスと影響を明らかにする。(3)モジュール化の動きが国際市場展開にどのように結びつくのか明らかにする。 COVID-19が落ち着きを見せ、英国における調査の機会に恵まれたため、2022年度においては主に国内および外国文献と英国におけるアーカイブ資料の収集を主に実施していった。収集成果として、自転車および部品に関する生産、輸出入、産業従事者、事業規模、各国市場の推移や状況、英国メーカーにおける経営状況等、生産状況と市場についてのデータを収集していった。 英国のデータと研究を見ていくと、1930年代英国は国内、海外ともに売上を伸ばし、大きな危機は訪れなかった。一方で、英国の自転車部品メーカーは、日本製部品の輸出が伸び、脅威を感じていたようである。英国は戦間期においても世界市場で優位にあり続け、当時、日本は産業発展の途上であった。先行研究において、日本の強みを関東大震災をきっかけとした設備更新と低賃金、業界の努力に触れている。ただしその分析は研究の限界で指摘されているように、英国で収集した統計データに頼った見方であり、比較研究としては十分ではない。本研究では特に日本における産業の構造が互換性を持った製品設計に影響を与え、その後の国際市場展開に結びついていると考えているため、日英における資料の比較整理および考察が今後の課題として求められる。 研究成果として、歴史的な影響の把握の必要性から日本の業界の現況について考察し、共著として出版している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
イギリスにおける資料収集に関してはおおむね順調である。今年度における資料収集では主にNottinghamshire Archive, Birmingham Library, British Libraryへ資料収集を行った。ここではイギリスで主たる地位を占めたメーカーであるRaleigh社の財務諸表、議事録や英国の貿易統計などが入手できた。また、イギリス自転車産業に関する博士論文および歴史研究に関するプロシーディングを入手でき、一次データ入手のためのソースや先行研究の到達点がより明確になった。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度ではイギリスにおけるアーカイブ、統計情報がある程度収集できたため、今後は日本における当時の資料を収集し、比較する必要がある。次年度以降は日本における資料収集と比較分析に努める。また、2023年度では国際学会で報告をし、これまでの研究成果の報告と意見交換を行い、論文などの成果につなげていく。
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