研究課題/領域番号 |
22K13443
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07070:経済史関連
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
植田 展大 立命館大学, 経営学部, 准教授 (90896896)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 漁網 / 漁業 / 定置網漁業 / 技術承継 / 水産業 / 経済史 / 経営史 |
研究開始時の研究の概要 |
日本の伝統的な漁業である定置網漁業は、日本の水産業全体が縮減するなかでも新たな技術・漁法を導入して省力化・効率化を進め、近年では新規就漁の場としても注目されている。定置網漁業の展開を考える際には、漁業者のニーズやシーズに対応しながら事業領域を拡大してきた漁網会社の存在を無視できない。 本研究では漁網会社の事業展開を中長期的に歴史・現状の双方から分析し、漁網会社が日本の水産業の技術導入や構造再編に果たしてきた役割を明らかにするとともに、漁業者がこのような事業拡大をどのように捉えているかを検討することで漁網会社に求められている役割を確認し、日本の水産業の将来像を明らかにしたい。
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研究実績の概要 |
本研究は漁網会社の事業展開を中長期的に歴史・現状の双方から分析し、漁網会社が日本の水産業の技術導入や構造再編に果たしてきた役割を明らかにすると同時に、生産者がこのような漁網会社の事業拡大をどのように捉えているかについて検討することで、今後の水産業において漁網会社に求められている役割についても展望することを目的にしている。 初年度である2022年度は、歴史分析と現状分析の2点を踏まえて3月に石川県及び広島県で調査を実施した。歴史的に漁網会社と地域社会や漁業者の関係がどのように構築されてきたのかを明らかにすべく、史料調査を広島県福山市の鞆の浦歴史民俗資料館で実施するとともに、現状的な側面から漁網会社3社を訪問し聞き取り調査を実施した。明治時代から1950年代までの史料を調査・整理するなかで、漁網会社が生産者の要望に応じて漁網の編地や綿糸の調達範囲を次第に拡大し、最終的には全国各地から原材料を調達しながら漁網の供給を行っていたという実態を明らかにできる見通しを得ることができた。同時に漁業における技術導入が漁網会社を介しながら、どのような範囲に拡大していったのかという実態の把握につながる史料も見つけ出すことができた。現状的な分析ではコロナ禍の影響もあり、当初予定した漁業経営への訪問調査はできなかったものの、聞き取り調査によりコロナ禍及びその回復過程にある漁網会社の現状についての情報収集を行うとともに、廃プラスチックが社会問題となるなかで漁網リサイクルを漁業会社等と進める新たな動きについても知見を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
歴史分野では1年目である2022年度に撮影済みの資料の打ち込みを完了し、福山市鞆の浦歴史民俗資料館で未撮影分の資料調査を実施する予定にしていたものの新たな史料も発掘もあり、当初よりも史料の全体像の把握に時間がかかる見通しである。漁網会社への訪問による情報収集では一定の成果があった一方、2020年度に実施したアンケート調査をもとに漁協を訪問した聞き取り調査を実施するという点については当初の予定を達成できていない。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は福山市鞆の浦歴史民俗資料館の史料料の情報をまとめ、全体像の把握を進める。また、2020年度のアンケート調査を踏まえた生産者サイドからの漁網会社の把握についても調査を実施し、漁網会社の事業領域の拡大が、漁業にどのような影響を与えているのかの全体像を把握し、報告内容を研究会・学会等で報告する。
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