研究課題/領域番号 |
22K13458
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07080:経営学関連
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研究機関 | 目白大学 |
研究代表者 |
伊藤 真一 目白大学, 経営学部, 専任講師 (40825626)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2024年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | ワーク・アイデンティティ / 社会物質性アプローチ / アクター・ネットワーク理論 / 物質性 / 組織ディスコース |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は従業員のワーク・アイデンティティの構築・再構築を社会物質性の観点から捉え直し,ワーク・アイデンティティを毀損することなく組織の技術・物的要素をマネジメントする方策について検討する。 情報技術やAIなどの新技術やテレワークの導入は仕事内容や,仕事における他者との関わり方を変化させ,従業員のワーク・アイデンティティに重大な影響をもたらす可能性がある。しかし既存研究は組織の社会的側面に注目するあまり,技術・物的要素がもたらす影響については十分に議論していない。そこで本研究は技術や物的要素が組織の社会的側面といかに結びつきながらワーク・アイデンティティにどのような影響を与えるかについて検討する。
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研究実績の概要 |
2023年度は,「NPO主導のクロスセクター・コラボレーションにおけるアクターの可視化と非協力的なアクターの巻き込み―アクター・ネットワーク理論における翻訳概念を用いて―」が『組織科学』第57巻第2号に掲載された。 本論文は社会的な存在と物質的な存在の相互作用が組織の活動やアイデンティティにどのような影響を与えるかを検討するために,アクター・ネットワーク理論の観点からNPO主導のクロスセクター・コラボレーションのケース分析をおこなった。分析した事例では,島,馬,花,笹,鳥といった様々な非人間やそのエージェンシーが人間や組織などの社会的アクターの行動に影響を及ぼすことや,人間,非人間を含む様々なアクターをネットワークかすることによってNPOの掲げる目標が達成されたことを指摘した。またその際,既存のクロスセクター・コラボレーションが抱える,1. コラボレーションに影響を及ぼす多様なアクターとそのエージェンシーがどのように可視化されるのかが見落とされている,2. 可視化された敵対的・非協力的なアクターをいかに巻き込むかが十分に検討されていない,という課題を,アクター・ネットワーク理論を用いた事例研究を行うことで克服できることを議論した。 また,2023年度は,ワーク・アイデンティティ研究のレビューと社会物質性アプローチの観点からワーク・アイデンティティの構成を検討するためのインタビュー調査を行った。現在は、社会物質性アプローチの観点からインタビューデータを分析している。論文は現在執筆をしており、完成し次第投稿する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の進捗は当初の予定よりもやや遅れている。その主要な要因は、複数人いるインフォーマントの状況に変化などがあったため日程の調整に時間がかかったためである。ただし、現在はデータも収集できており,今年度にその分析を進める。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は,従業員のワーク・アイデンティティの構成プロセスを検討するために,収集したデータを社会物質性アプローチの観点から分析する。その上で,社会的なアクターと物質的なアクターが相互に作用することによってワーク・アイデンティティが構成されたり変化するプロセスを描く、もしくはモデルを構築する。 現在収集しているデータは、あるAIシステムが導入された企業において、それが組織の社会的要因とうまく噛み合わないことによってワーク・アイデンティティが毀損されたケースに関連するものである。このデータを用いて、いかなるプロセスでAIシステムが従業員のワーク・アイデンティティを毀損したのかを描き、この論文を学会誌に投稿する予定である。 また、NPO従事者のワーク・アイデンティティがさまざまな非人間を含むアクターとの関係の中で変化していき、そのことがNPOの組織目標の構築・変化に影響するのかについての論文についても執筆し、これも学会発表並びに学会誌に投稿することを予定している。
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