研究課題/領域番号 |
22K13464
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07080:経営学関連
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研究機関 | ビジネス・ブレークスルー大学 |
研究代表者 |
今川 智美 ビジネス・ブレークスルー大学, 経営学研究科, 助教 (40881016)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2024年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | HSP / 職務特性モデル / 心理資本 / 関係資本 / バーンアウト |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は職場での働き方を問うものであるので、人材マネジメントの中でも特に就業環境、配置、評価、そして育成に注目する。HSPの特性が何よりも周辺環境から過敏に情報を集めてしまうことであるとするなら、まず就業環境の整備が大切であろう。第2に、HSPのパフォーマンスを最大化するなら、その特性を活かせる職務内容への配置が大切になると考えられる。第3に、評価は、HSPにとって重大な心的ストレス源になりうる。どのような評価の枠組みがHSP活用に有効なのかは問うべきだと思われる。そしてHSP以外の人材との技能面での違いがあることを考慮するなら、育成の方法や、育てる技能についても違いが出てくることと思われる。
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研究実績の概要 |
本研究は、感覚処理感受性が高いがゆえに働くことに困難を感じているとされる感覚処理感受性の高い人(Highly Sensitive Person:以下HSPとする)に焦点を当てHSPの働き方、雇用の実態およびその活用方法について検討することを目的とする。 HSPは感覚器の敏感さに特徴づけられる特性であり、5人に1人以上が該当する(Aron & Aron, 1997)。HSPは、些細な音や変化を察知してストレスを蓄積しやすい物理的特性を持つため、特性について適切なアプローチを受けられなかったHSPが、身体的・精神的健康を損ない、生産性の低下や離職に至ることが指摘されている(Aron, Ketay, Hedden, Aron, Rose Markus & Gabrieli, 2010)。このようなリスクを抱えるHSPの就労者は日本国内にも推定1500万人存在し、彼らが直面している課題はあらゆる企業にとっても重要な問題であるといえる。それにも関わらず、HSPの特性に対する企業の対応は遅れており、サポートはおろか、HSPの特性を有する就労者の実態さえも明らかになっていない。 本研究では、HSPが、非HSPとの対比において、就労時にどのようにすればパフォーマンスを高められるのかについて、職務特性モデルに基づき検討する。調査は日本在住の20代~50代の男女800人を対象に、HSP的特性を持つ人と、それ以外(非HSP)とを対比するかたちでおこなわれた。線形回帰分析を行った結果、HSPのワーク・エンゲージメントは非HSPとのそれとは異なり、職務特性モデルのタスクの自律性、フィードバックの程度により高められることが明らかになった。その一方で、HSPにとってはタスクの完結性がワーク・エンゲージメントに及ぼす影響は小さいことが分かった。またHSPの社会関係資本が高いことも、そのパフォーマンスを高めうることが明らかになった。HSPがどのような職務が適しているのかについての指針が得られたことは、HSPに対する今後のマネジメントについての指針を示したといえる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年は理論研究及び実証研究を進めた。実証研究の成果は紀要として発表した。また本年の研究成果を元に学会発表の準備も進めている。
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今後の研究の推進方策 |
本年の研究では、HSPとその周囲が抱える課題を明らかにした。これに対して、社会や企業がどのように対応すべきかを検討るのが今後の研究の目指すものである。本年や前年と同様に定性研究を行う。具体的には、HSPを対象としたインタビュー調査を通じて、企業対応についての仮説構築を行う。また必要に応じて、企業へのインタビュー調査を行い検討する。このようなプロセスを経て構築した仮説について定量研究3にて実証を行う。その結果、どの企業に多数存在するHSPを活用するためのマネジメント手法を提示したい。
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