研究課題/領域番号 |
22K13468
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07080:経営学関連
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研究機関 | 中央大学 (2023) 関西学院大学 (2022) |
研究代表者 |
榎本 俊一 中央大学, 商学部, 准教授 (20594708)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 製造企業のサービス化 / ソリューション / 市場誘導型イノベーション / 工作機械 / OT企業 / スマート・ファクトリー / IoT革命 / 脱コモディティ化 / ユーザ・イノベーション / 第4次産業革命 / Smart Factory |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、Matthyssens and Vandenbempt(2008)の市場成熟化と脱成熟化の循環モデルに基づき市場誘導型イノベーションを位置付け、2段階モデル(サービス化→製品イノベーション→模倣困難なビジネス・モデル)に基づきプロセス・メカニズムを解明する。まず「製造企業のサービス成長」研究のコア対象である工作機械・産業機械等資本財メーカーの事例研究により仮説検証し、モデルを修正・改善し、次いで、OT、IT、企業システム企業等の事例研究を通じ、更なる検証とモデル修正を行い、製造業一般に通用する市場誘導型イノベーション・モデルを構築することを目指す。
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研究実績の概要 |
工作機械メーカーの工場高効率化ソリューションを通じた市場誘導型イノベーションについて、製品イノベーションとビジネス・モデル・イノベーションの2段階モデルと、各段階のイノベーションの成否を決定する要因についてDМG森精機・ヤマザキマザック・オークマの事例研究を通じてモデル化を行った。 同モデルの通用性を検証するため、2023年度は、工場スマート化ソリューションにおける工作機械以外の重要プレイヤーであるOT企業、企業ソフトウェア企業、クラウド企業のソリューション展開について、企業ヒアリング等により実態調査を行った。①”Smart Factory”の基本機能及びシステム構成、②システム構成に即した工作機械、OT企業、企業ソフトウェア企業等によるソリューション・ビジネスの展開状況(コア事業の棲分けと隣接分野での競業)を明確化し、成果は「2010年代の製造IoT化と工作機械ビジネスの変容~従属化の危機から提携・協業による事業革新へ~」としてまとめ、中央大学『商学論纂』第65巻5・6号に掲載した。特に、OT企業研究を先行させることとし、中間成果はサービス学会全国大会にて報告し、「OT企業とスマート・ファクトリー」として取りまとめ、2023年度全国大会口頭発表原稿集に寄稿した。 また、工作機械メーカーの工場高効率化ソリューションを通じた市場誘導型イノベーションにおける企業提携の役割について中間成果を日本経営学会第97回全国大会報告要旨集にまとめるとともに、研究報告に対するコメント等を踏まえ改稿、日本経営学会誌に査読投稿中である。 なお、製造スマート化の延長として、デジタル技術が社会経済をいかに革新するかについて研究展開しているところ、物流スマート化、医療スマート化、デジタル・マーケティング、自動車電動化等について企業ヒアリング等を関して最新動向を調査するとともに、課題整理等を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
科研費申請時の本研究プランとして、Matthyssens and Vandenbempt(2008)の市場成熟化と脱成熟化の循環モデルに基づき市場誘導型イノベーションを位置付け、2段階モデル(サービス化→製品イノベーション→模倣困難なビジネス・モデル)に基づきプロセス・メカニズムを解明することとし、まず「製造企業のサービス成長」研究のコア対象である工作機械・産業機械等資本財メーカーの事例研究により仮説検証し、モデルを修正・改善し、次いで、OT、IT、企業システム企業等の事例研究を通じ、更なる検証とモデル修正を行い、製造業一般に通用する市場誘導型イノベーション・モデルを構築することを目指すとした。 プランの第1段階である「製造企業のサービス化」を通じた市場誘導型イノベーションのモデル化については、2022年度、工作機械メーカーの工場高効率化ソリューショを通じた市場誘導型イノベーションを事例研究し、製品イノベーションとビジネス・モデル・イノベーションの2段階モデルと、各段階のイノベーションの成否を決定する要因についてモデル化を行った。 2023年度は同モデルの通用性を検証すべく、OT企業、企業ソフトウェア企業、クラウド企業のソリューション展開について、企業ヒアリング等により実態調査を行うとともに、論文(「OT企業とスマート・ファクトリー」)を取りまとめ中であり、プランの第二段階であるモデルの通用性等の検証を踏まえたモデル修正等の作業に着手することができたと考えている。特に、2022年度のモデルでは、企業連携、ネットワーク化など、製造企業のサービス化を通じた市場誘導型イノベーションを促進する諸条件に関する検討を欠いていることから、2023年度において、製造企業のサービス化に対する企業提携の意義・効果に関して研究着手できたことは、研究の着実な進展と考えてよいものと思料する。
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今後の研究の推進方策 |
製造企業の脱市場成熟化戦略としてのサービス化に関し、2023年度、産業機械メーカー、OT企業など資本財部門での市場誘導型イノベーションについて調査研究したことから、2024年度、第一に、工作機械メーカーの工場生産高効率化ソリューションを通じた市場誘導型イノベーションに基づくモデルが他資本財部門でも妥当するかを検証する。 第二に、工作機械のケースでは、製造企業のサービス化を通じた市場誘導型イノベーションは業種・業態を超えたネットワーク、グローバルな協働・提携により加速されることが判ったが。OT企業等のケースも含めて、サービス化を通じた市場誘導型イノベーションがメーカーと顧客の二項関係で完結せず、業種・業態を超えたネットワーク、グローバルな協働・提携により加速されることについてメカニズムを解明する。 第三に、メーカーが市場誘導型イノベーションを達成するため求められる能力・資源は何かを解明する。なお、2023年度研究成果について査読誌投稿中であるところ、投稿論文として認められるべくブラッシュ・アップに努めて、学問業績としての成果物としたい。 なお、2025年度以降はOT企業に引き続き企業システム・ソフトウェア会社、クラウド企業等のスマート・ファクトリー関連ソリューションについて実態調査を行い、工作機械、OT企業だけでなく、ITソリューション・プロバイダについても、2段階モデルやイノベーションの成功に係る命題が通用するか否かを検証し、製造業一般だけでなく産業システム関連部門全体に通用するサービス化を通じた市場誘導型イノベーションのモデル化も目指す。
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