研究課題/領域番号 |
22K13490
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07080:経営学関連
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
中村 文亮 近畿大学, 経営学部, 講師 (50879731)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2025年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 企業買収 / アライアンス / 組織再編 / M&A / 再構築 / 組織能力 / 買収成果 / PMI |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、①買収企業の過去の買収、部門再編、ジョイントベンチャー(JV)やアライアンスなどの活動領域改革の経験が、買収後のターゲット企業の部門を再構築能力の形成にどのような影響を与えるのか、さらに、②買収後のターゲット企業の事業再編が買収価値の創出にどのように影響するのかを明らかにすることである。 本研究では、再構築観点と組織学習論の観点から、買収企業の活動領域改革の経験が、買収後のターゲット企業の部門再構築にどのように応用され、結果として買収価値の創出に寄与するのかを探索する。本研究を通じて、日本企業の買収価値を創出するための買収後の統合能力形成への提言が可能になる。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、①買収企業の過去の買収、部門再編、ジョイントベンチャー(JV)やアライアンスなどの活動領域改革の経験が、買収後のターゲット企業の部門再編に与える影響と②買収後のターゲット企業の事業再編が買収価値の創出に与える影響を明らかにすることである。本年度は、買収における企業経験のスピルオーバー効果を取り扱った先行研究を整理し、今後のデータベース拡充のための経験変数と買収成果の変数を明らかにした。経験変数に関して、先行研究では買収経験が最も注目されており、次にアライアンス・JVの経験が扱われる傾向であった。先行研究では、これらの経験は買収のプロセスや成果に影響を与えるという認識が一般的になるつつある。最近では、売却経験に注目する研究も出てきている。ただし、売却経験と買収の関係に関しては、影響メカニズムは未だ十分に理解されておらず、現在の重要な課題となっている。また、最近の研究動向では、買収企業が経験を活用するためのモチベーションや環境条件を探索が重要視されつつある。この点に関して、先行研究では、企業が経験を買収に応用するためのプロセスを人的資源管理論や心理学の理論を援用することで明らかにする分析が増えている。買収成果の変数に関しては、従来ではアカウンティングやファイナンス上の指標が一般的であったが、最近では事業売却、特許取得率、売上に占める新製品開発率などの多様な指標が提案されていることがわかった。経験要因が多様化するにつれて、それらの影響を測定するための指標を拡充する傾向にあった。以上の論文整理により、今後のデータベースの構築においてより広範な経験変数と成果変数の取得が必要であることが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の目標は、企業買収データベース拡充のための準備が主な目的であった。この点については、先行研究の整理を通じて、概ね達成できたと考えられる。ただし、今年度に整理した最新の研究動向を鑑みると、今後のデータベース拡充の際には当初想定していたよりも多くの変数が必要になることがわかった。ゆえに、今後の研究進展ついては、より時間を要する可能性がある。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は独自データベースによる分析と事例調査によって、企業の活動領域変革経験と買収成果の関係を明らかにすることが目的である。今後の研究では、本年度に整理した企業の経験や買収成果の変数をデータベースに反映させつつ、最近買収を実施した企業へのアプローチを開始する。懸念事項としては、コロナ禍の影響によって最近では買収件数が減少しており、本研究の文脈に適切な事例へのアクセスが難しくなっている。この点に関して、買収実施企業への調査依頼を予定よりも早く始めることで対応するものの、思うように事例の対象となる企業を収集できない可能性がある。
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