研究課題/領域番号 |
22K13502
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07090:商学関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
佐藤 哲也 早稲田大学, 理工学術院, 講師(任期付) (00772956)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2026年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | ロジスティクス / サプライチェーン・マネジメント / 生産管理 / 多段階最適化 / 確率計画法 / 遺伝的アルゴリズム / シミュレーション / 複雑ネットワーク / ビッグデータ / 確率モデル |
研究開始時の研究の概要 |
近年、ライフスタイルの多様化や電子商取引の急速な普及により、物流業界で取り扱われる荷物は著しく増加しているが、一方で配送遅延や収益性の低下などの深刻な問題が生じている。この解決にはサプライチェーンの改善・効率化が不可欠であるが、現実社会の問題では複数の事業者が関係するため、それぞれで異なる目標が設定された多段階・多目的最適化問題となることが多い。また、需要や交通状況など一部のパラメータは一意に決定することも困難である。本研究では、上記多段階・多目的最適化問題を対象とし、確率的なパラメータ変動を組み入れた数理モデルへの拡張とその効率的解法について検討を行う。
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研究実績の概要 |
ライフサイクルの多様化や電子商取引の普及により、物流業界で取り扱われる荷物量は増加の一途を辿っている。一方で、その輸送を担うドライバーの労働環境が法改正により改善された結果、「2024年問題」と呼ばれる労働力不足により輸送が満足に行えない状態に陥り、深刻な社会問題となっている。本研究では、物流拠点の配置、生産・物流拠点内の各種オペレーションのスケジューリング、拠点から顧客への配送ルート・配送順序決定などの各種最適化問題について、現実社会において生じる不確実要素を考慮した数理モデルへの拡張を行う。さらに、それらを複合的に扱った多段階同時最適化モデルへと発展させることにより、物流業界における各種課題の解消を目指す。 本年は、需要変動下における配送計画問題について、確率計画モデルの解法を改善することで、計算時間の短縮が可能であることを示した。 さらに、拠点間での在庫転送について、欠品率の低減のみならず、コスト的にも利点が生じる場合があることを数値実権により示した。これは、例えば同時に受注した複数の商品について在庫する拠点が異なっている場合に、予め拠点間で転送を行うことで荷物を集約し顧客へ発送するといった問題へ適用することで、輸送量の低減なしに取り扱い荷物の総数・容積削減の実現に繋がると期待できる。 次に、道路状況などの変動により配達時間に不確実性がある中で、配達時間帯の指定がある配送計画問題について、確率計画モデルの構築を行った。 また、移動・輸送モビリティの電動化という社会全体の流れに対応するため、電動車の利用を前提とした施設配置や配送計画の見直しについても検討を始めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、生産物流サプライチェーンを主な対象とし、需要や交通状況、顧客の在宅状況などの各種変動要素を考慮した多段階・多目的最適化問題に対する数理モデルの開発を行うとともに、その効率的解法を見いだすことを目的にしている。ここで、多段階モデルを構成する各階層の最適化問題及びその複合モデルにおいて、目的関数の設定やKPI(Key Performance Indicator)の定義は重要なテーマである。2023年度は、前年度と同様、拠点間在庫転送や配送計画、施設再配置など、サプライチェーンのシステム構築に関連する各種最適化問題について個別にモデルの見直し及び確率モデルへの拡張、さらに解法の改良を中心に研究を進める計画であり、概ね順調に進展したといえる。 一方で、データの収集・活用については、当初想定していたアンケート調査から計画を変更し、AI技術の活用に向けた検討を進めている。 計算資源の増強については先送りとしているが、これは既存の計算機環境を継続使用し、モデル構築や解法の改良による高速化を優先して行っているためである。 以上の理由から、当初計画からスケジュールや方針の変更はあるものの、おおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度についてもサプライチェーンにおける各種最適化問題、特に施設配置、配送計画、在庫転送などの問題について、現実社会の問題を反映するための数理モデルの見直し及び確率モデルへの拡張、そして解法の改善について、引き続き検討を進める。また、遺伝的アルゴリズムなどのメタヒューリスティクス解法を利用した近似解導出についても、確率モデルへの対応に加え、逐次解法の併用や計算の並列化などの手法を組み合わせた高速化を進めるとともに、使い分けについての検討も行う。 また2024年度は、これまで別々に議論を行ってきた施設配置問題と拠点間在庫転送問題や配送計画問題について、それらを複合した確率モデルの構築を進める計画である。 さらに、移動・輸送モビリティの電動化という社会の流れに対応した数理モデルの開発も、並行して進める予定である。
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