研究課題/領域番号 |
22K13510
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07100:会計学関連
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研究機関 | 園田学園女子大学 |
研究代表者 |
北田 真紀 園田学園女子大学, 経営学部, 准教授 (30824198)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 管理会計 / 無形資産 / 人的資本 / 環境業績 / 環境配慮型製品 / 非財務業績 / 事例分析 / 質問票調査 / 温室効果ガス排出量 / インタビュー調査 / 実証分析 |
研究開始時の研究の概要 |
地球環境問題が世界中で長く議論されているなか、日本は2050年までに温室効果ガスの排出量を全体でゼロにするというカーボンニュートラルを目指すことを目標に掲げている。日本企業の環境経営の実績は世界でトップレベルであり、製造業も取組を強化している。本研究では、企業の環境配慮型活動に欠かせない要素として人的資本に着目する。具体的には、人的資本の職務遂行能力を高め人材育成を強化することによって、環境業績を高めることができるという仮説について、製造業における環境経営の現状と課題点を整理したうえで、定量的かつ定性的な分析を行う。その結果、脱炭素社会の実現にむけて、新しい知見と指針を得ることが期待できる。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、日本の製造業における環境経営の課題点を明らかにしたうえで、人的資本と環境業績の関係について、定量的かつ定性的な分析により明らかにすることである。具体的には、企業の環境配慮型活動に欠かせない要素として人的資本に着目しており、人的資本の職務遂行能力を高め人材育成を強化することによって、環境業績を高めることができるという仮説について、製造業における環境経営の課題点を整理したうえで、定量的かつ定性的な分析により、環境業績を高めるために企業内部で行われている従業員教育および人材育成の実態とその成果について明らかにすることを目的とする。 本研究は3年間の期間を予定しており、2年目である2023年度は、2020年度末に実施した「日本企業の環境保全活動の実態とその取り組みの成果に関するアンケート調査」結果を引き続き整理している。具体的には、環境保全活動における人的資源管理として、社内における環境教育および情報共有の状況について尋ねる設問と、その調査結果に焦点を当て、日本の製造業における環境配慮型活動と情報開示の現状について、従業員の環境教育の観点から重点的に考察している。質問票調査結果による定量的な考察、および事例分析を行う定性的な考察の結果、環境配慮型製品の開発・製造・販売において先進的な取り組みが見られる電気機器産業、および温室効果ガスの排出量が多い5つの業種のうちの1つである化学産業において、環境保全活動への高い問題意識に基づき、それに対応した技術的な取り組みと従業員の環境教育が積極的に実施されているという実態を明らかにすることができた。 以上の研究により、環境業績を高めるために企業内部で行われている、環境教育および情報共有の状況について整理することができ、事例分析より、さらなる問題意識と今後の研究に向けた課題を明確にすることができたといえる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度は、2020年度末に実施した「日本企業の環境保全活動の実態とその取り組みの成果に関するアンケート調査」結果を引き続き整理し、日本の製造業における環境配慮型活動と情報開示の現状について、従業員の環境教育の観点から重点的に考察している。質問票調査結果による定量的な考察、および事例分析を行う定性的な考察の結果、環境業績を高めるために企業内部で行われている、環境教育および情報共有の状況について整理することができた。その結果は、「日本の製造業における環境配慮型活動の取り組みの実態についての一考察―従業員の環境教育に着目して―」と題して、日本管理会計学会2023年度全国大会において研究報告を行った。また、質問票調査の回答企業の多くが気候関連財務情報開示タスクフォース (TCFD)に賛同している現状より、それらの企業を対象として同様の考察をさらに深化させた。その結果は「日本の製造業における環境配慮型活動と情報開示の現状についての一考察」と題する論文としてまとめ、『園田学園女子大学論文集』第58号に投稿している。 このような定量的かつ定性的な検討により、今後の研究に向けて新たな問題意識と指針を構築することができた。しかし、質問票調査結果の考察と事例分析に時間を要してしまい、人的資本と環境業績の長期的な関係性を明らかにするための実証分析が十分に進められていない。そのため、研究計画よりやや遅れているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、2023年度に引き続き、企業の人的資本と環境業績の関係について、定量的かつ定性的な分析に取り組む。具体的には、「人的資本の職務遂行能力を高め人材育成を強化することによって、環境業績が高まる」という仮説について日本の製造業に着目し実証分析を行う。人的資本と環境業績の長期的な関係性を分析するため、既存研究の拡張にくわえ、人的資本と環境業績の代理変数を再検討し、より精緻化した分析を行う。また、引き続き、インタビュー調査を継続し定性的な考察も行う。具体的には、2022年度における環境経営の課題点の把握、および2023年度における定量的かつ定性的な考察をふまえ、特徴的な企業にインタビュー調査を行う。調査対象は従業員教育、人材開発にかかわる部署の担当者とし、環境業績を高めるために企業内部で行われている従業員教育および人材育成の現状について把握することを目的とする。これらの調査により、人的資本が環境業績に与える影響について、個々の企業における取組の実態とその成果について明らかにする。 このように、人的資本が環境業績に与える影響について、定量的かつ定性的な分析により明らかにする。これらの研究過程について、方向性を確認するため、学会において報告する予定である。報告によって得られたコメントをもとに分析過程を修正し、最終的に論文にまとめる。
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