研究課題/領域番号 |
22K13517
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07100:会計学関連
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研究機関 | 静岡産業大学 |
研究代表者 |
太田 裕貴 静岡産業大学, 経営学部(藤枝), 准教授 (70779834)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2026年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 複数大株主 / コーポレートガバナンス / 日本企業 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では日本企業の複数大株主がCGに与える影響を明らかにする。具体的には以下の2つの方法で研究を進める。第一に複数大株主に関する海外研究を日本企業で追試することで、海外で確認された証拠が日本企業にも当てはまるかを検証する。第二に仮に海外と日本で異なる証拠が得られた場合には、その要因を詳細に検討する。 基本的な手法は入手可能な大規模データを用いた実証研究である。上記の2つの方法を用いて「複数大株主はCGの質を向上させる重要な存在か?」という学術的「問い」に頑健性が高い証拠を提供したうえで明確な解答を示すことが本研究の到達目標である。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は日本企業の複数大株主がコーポレートガバナンスに与える影響を明らかにすることである。研究期間を通じて、具体的には以下の2つの方法で研究を進める。第1に、複数大株主に関する海外研究を日本企業に当てはめた追試を実施することである。この追試の意義は、海外の先行研究で確認された証拠が日本企業に対しても当てはまるかを確認することで、複数大株主によるコーポレートガバナンスに関するリサーチクエスチョンの妥当性を確認できる点にある。第2に、海外と日本で異なる証拠が得られた場合に、その要因を詳細に検討することである。 当該年度は「大株主による出口戦略(exit)の脅威」に注目し、それが企業の現金保有に与える影響を検証することで、複数大株主の存在がコーポレートガバナンスに有効であるかを検討した。企業の現金保有水準とコーポレートガバナンスの関連性に関する証拠は海外の先行研究でも首尾一貫していない。本研究は大株主間の出口戦略の脅威の観点から、一連の研究に対して新たな証拠を提示している。本研究の取り組みは上記の2点を満たすものである。具体的な発見事項は以下のようである。①市場流動性が上昇する状況では大株主間の競争が激しいほど現金保有水準が高くなる。②現金保有水準が大幅に上昇した企業で、かつ大株主間の競争が激しい企業ほど市場は悲観的に評価する。③ただし、市場流動性が上昇する状況では、市場が与える負の影響が小さくなる。大株主による出口戦略の脅威は高水準の現金保有を行う企業でより重要となる。 また、当該年度は日本企業における複数大株主の特性についても調査を試みた。その結果、情報の非対称の程度が大きい企業や資金調達が困難な状況にある企業が複数大株主による監視を受け入れる傾向にあることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記で示したように、研究期間を通じて以下の2つの方法で研究を進めることを目標としている。第1に、複数大株主に関する海外研究を日本企業に当てはめた追試を実施することである。第2に、海外と日本で異なる証拠が得られた場合に、その要因を詳細に検討することである。当該年度はこの両者を満たす研究を実施し、論文として公表することができた。加えて、日本企業における複数大株主の実態についても調査を行い、論文として公表するに至った。こうした点を踏まえて、研究の進捗としては「おおむね順調に進展している」と自己評価する。
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今後の研究の推進方策 |
24年度も引き続き、①複数大株主に関する海外研究を日本企業に当てはめた追試を実施する、②海外と日本で異なる証拠が得られた場合に、その要因を詳細に検討する、という2点を意識した研究を行う。 24年度は日本企業において一定数存在することが確認されている「従業員持株会」に注目する予定である。従業員持株会の存在がコーポレートガバナンスに与える影響に関しては海外を中心に多様な研究が展開されているが、日本企業を対象にした場合にどのような結果が得られるかを確認する。とくに、日本では最近米国のESOP制度を参考にした「日本版ESOP」を導入する企業が見られる。ESOPを導入している企業が既に多く存在している米国とは異なり、日本ではESOPの導入・未導入に注目したリサーチデザインを設定することができる可能性がある。従業員持株会の存在は企業のコーポレートガバナンスにどのような影響を与えるのか。従業員持株会と他の大株主(例えば経営者や信託銀行)との関係はどうか。こうしたリサーチクエスチョンに対して、実証研究を通じて証拠を提供することを目指す。
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