研究課題/領域番号 |
22K13523
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 福島大学 |
研究代表者 |
廣本 由香 福島大学, 行政政策学類, 准教授 (90873323)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 沖縄 / 住民運動 / 環境運動 / 農業・農村問題 / 自立 / NIMBY / 環境紛争 / 社会的公正 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では沖縄・石垣島の環境運動史を構築する。研究対象として(a)陸上自衛隊配備反対運動、(b)住民投票請求運動、(c)新石垣空港建設反対運動、(d)一般廃棄物焼却施設反対運動、(e)川平リゾート反対運動に着目し、これらの運動に見られる連続性/不連続性、共通性/差異性、傾向性を分析する。こうした環境運動史から多様なステークホルダーの協働の仕組みや社会的公正のあり方を考える。
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研究実績の概要 |
2022年度は、沖縄・石垣島の社会運動(住民運動、環境運動)に関する文献資料を幅広く収集し、その整理と分析に努めた。具体的には、本土復帰前後のリゾート開発を目的とした本土企業・個人の土地買い占めに対抗した青年らの土地買戻し運動と、復帰後の地場産業の創出と経済的自立を目指したシマおこし運動である。前者は、まとまった文献資料が存在しないため、運動にかかわった住民の記録やエッセイを収集する作業から始めなくてはならなかった。後者は、研究者と住民の交流事業やシンポジウムが開催されたので学術的な論文も多数残されているが、住民の立場から運動について詳しく書かれたものは少ないといっていい。両者とも事実の補足や分析が足りていないところがあるので、その点は引き続き資料収集と分析をおこなう必要がある。 両者に共通するのは、その背景に沖縄の3K経済(基地収入、公共事業、観光)呼ばれる社会経済構造と外来型開発の諸問題、一次産業と地場産業の脆弱さがあり、両者とも、地域主義や内発的発展論が志向した「自立」を試みた運動であったと大枠では捉えることができる。これによって社会運動と地域づくりを同じ射程に入れることができたのは、本研究を展開するにあたっては重要なステップである。 2022年度は石垣島の運動史を本土復帰まで遡って整理・分析することで、当時の運動のキーマンとネットワーク、文化的基盤の一端を明らかにすることができた。1970年代から80年代にかけて石垣島で形成された運動文化が、それ以降の運動や連帯にも関係しているのかどうかという分析については、今後の課題として取り組んでいく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度は石垣島でのフィールド調査が計画通りに進めることができず、現在までに1次データの収集が不十分であると言わざるを得ない。こうしたフィールド調査の遅れをカバーするためにも、文献資料の収集に力を入れ、資料の整理・分析に取り組んだ。2022年度は文献資料調査を重点的に進めた結果、つぎの研究の展開にかかわるような新たな事実や分析視点を獲得することができた。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度はフィールド調査を思うように進めることができなかったので、それを補うためにも2023年度はフィールド調査による1次データの収集に努める。具体的には、沖縄・石垣島の土地買戻し運動とシマおこし運動にかかわった青年(当時)や関係者へのインタビュー調査であり、運動の動員(フレーミング)と文化的基盤を明らかにしたいと考えている。また、土地買戻し運動とシマおこし運動においてコーディネーターの役割を果たした故・金城朝夫をキーマンとして詳しく調査する必要が出てきた。彼が生前に係わった複数の運動や実践の軌跡を辿ることで、八重山の運動史が概観でき、運動文化を見つめることも不可能ではないと考えるからである。 以上の調査と分析結果を踏まえ、2023年度は学会大会の自由報告にエントリーし、成果報告をおこなう予定である。
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