研究課題/領域番号 |
22K13524
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
渡部 沙織 東京大学, 医科学研究所, 特任研究員 (00828999)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 希少難治性疾患 / ELSI / 患者・市民参画(PPI/E) / 質的研究 / 難病 / 希少疾患 / 患者・市民参画 / PPI |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、質的調査等の手法を用いて日本における希少疾患領域のELSI(倫理的法的社会的課題)とPPI(患者・市民参画)の課題について解明を行う事である。 国が推進する全ゲノム解析や幹細胞研究等において、患者数の少ない希少疾患患者の細胞株やゲノム、情報の取り扱い等を含めた繊細な倫理上の課題や、患者の社会経済的な脆弱性に基づくPPIの課題など、従来想定されてこなかったELSIの諸課題が生じつつある。国内外の多様なステークホルダーを対象とする質的調査を通じて、日本の患者参画における課題を包括的に分析する。
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研究実績の概要 |
2022年度は、本研究計画の1年度目としてインタビュー調査と文献調査を実施した。希少難治性疾患のELSIと患者・市民参画に関して、本年度に実施した研究の詳細について以下に記載する。 ◆希少・難治性疾患患者の研究参画に関する諸概念と政策の分析: 国内では研究参画に関連する用語はPatient InvolvementやPatient-Centered Research、PPI等複数の概念が多義的に臨床研究の現場で用いられており、AMEDや関連学会の研究参画に関するポリシーも萌芽的な段階にある。諸外国の研究参画に関する歴史的な経緯と概念の整理を文献調査を通じて行い、海外の政策当局者や患者組織へのヒアリング等を実施し参考としながら、理論的な分析の基礎的な作業に着手した。 ◆希少・難治性疾患の臨床研究参画に関するインタビュー調査: フェーズ2のインタビュー調査の目的は、臨床研究や医薬品開発で患者をとりまく多様なステークホルダーへのインタビュー調査を通じて、日本での患者参画に関連するELSI課題の抽出を行うことである。本年度は、3つのステークホルダーを対象として調査の実施のための準備を進めるとともに、一部の対象についてインタビュー調査の実査を行なった。具体的には、国内の患者・家族団体、希少疾患研究者、医薬品開発企業の担当者のうち、患者・家族団体(n=2)と希少疾患研究者(n=1)に対して調査を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度においては、新型コロナウイルス感染症による調査実施への制約の影響が残っており、海外渡航や患者・家族を直接訪問する調査の実施はまだ難しい状況だった。ヒアリングやインタビュー調査をオンラインでの実施に当初から切り替えて準備する事で、研究計画への影響は最小限に留められている。 インタビュー調査については、対象とする患者・家族団体、研究者と製薬企業の選定を中心に、最初に実施する数例のフィージビリティ調査の準備を進めた。数例に実査を行なった上で、説明同意文書やインタビューガイドの改良を行い更に効果的な調査設計のあり方を検討した。 文献調査は海外、特に米国と英国やEUでの患者・市民参画や希少疾患のELSIに関する最新の報告書や研究論文のサーベイを行い、取り扱う課題を類型化して分類した。また、米国と英国の患者団体(n=2)にオンラインでヒアリングを行い、患者市民参画の運営や政策による支援等について調査した。 研究計画の1年度目に予定していた作業は概ね完了しており、全体としては順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、本年度に実施した質的調査を更に進展させる。 患者組織、研究者、製薬企業を対象とするインタビュー調査を継続し、事例をそれぞれN=5程度まで積み上げる。政策分析については、本年度に行なったサーベイと粗方の類型化を更に精緻化し、分類する。また、次年度は質問紙意識調査の設計についての準備に着手する予定である。
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