研究課題/領域番号 |
22K13525
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大久保 将貴 東京大学, 社会科学研究所, 特任助教 (90807835)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 測定誤差 / 因果推論 / ベイズ統計 / 社会調査 / 標本誤差 / 非標本誤差 |
研究開始時の研究の概要 |
社会調査における測定誤差は,1)母集団から標本を抽出する際に偶然生じる誤差,2)「分析者が測定したい項目」と「実際に測定された調査対象者の回答項目」の間の誤差,の2種類がある.1)の測定誤差は,母集団が明確に定義されていれば標本との誤差が計算できるため,誤差の影響は計算でき,また補正も比較的容易である.本研究で主に扱うのは2)の測定誤差であり,通常の社会調査ではこうした誤差がないものと仮定されているが,実際には多くの項目で測定誤差が生じている.本研究では,i)測定誤差は存在するのか,ii)測定誤差はデータ分析に影響を与えるのか,iii)測定誤差をどのように補正するのか,という課題に取り組む.
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研究実績の概要 |
社会調査における測定誤差は,1)母集団から標本を抽出する際に偶然生じる誤差,2)「分析者が測定したい項目」と「実際に測定された調査対象者の回答項目」の間の誤差,の2種類がある.1)の測定誤差は,母集団が明確に定義されていれば標本との誤差が計算できるため,誤差の影響は計算可能であり,また補正も比較的容易である.本研究で主に扱うのは2)の測定誤差であり,通常の社会調査ではこうした誤差がないものと仮定されているが,実際には多くの項目で測定誤差が生じている.
一般的なデータ分析では,社会調査によって測定された項目に測定誤差が生じていると仮定していない,例えば,社会調査ではしばしば賃金や年収を尋ねており,当然ながら調査主体は正確かつ真の対象者の賃金や年収を測定したい.しかしながら,様々な理由によって,調査対象者は賃金や年収の真の値を回答しないことがある.これが測定誤差である.2023年度は,測定誤差に関する論文投稿をおこなった.具体的には,調査対象者がパネル調査の回答を経験することによって生じうる測定誤差であるパネル条件付けバイアスに着目し,その識別仮定と方法を提示した.さらに,この仮定と方法に基づいて,パネル調査のいくつかの項目について,パネル条件付けバイアスの方法と大きさを確認した.パネル条件付けを識別するためには,1)処置群と対称群の母集団は同一であり,2)測定項目Xの測定時点wにおいて処置群と対照群では交換可能性が成立している,という2点が成立していなければならない.分析結果からは,世帯構成,センシティブな意識項目,人口学的属性,社会経済的属性といった測定項目において,パネル条件付けバイアスが生じている可能生が示唆された.また,新たに提案した要因分解法の結果からは,パネル条件付けバイアスは脱落バイアスと比べても決して軽微でない補正対象であることが示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り「測定誤差は生じているのか」に関する論文を執筆し投稿したため.
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今後の研究の推進方策 |
昨年度までに測定誤差を明らかにする研究を遂行したが,測定誤差が生じるメカニズムについては不明である.今年度以降は,測定誤差が生じるメカニズムの解明に着手する.測定誤差が生じるメカニズムとしては,社会的望ましさによるタテマエの回答,調査主体への不信感による虚偽の回答,回答コスト削減のための不正確な回答等を想定しており,測定誤差の診断と併せてメカニズム分析をおこなう.またオンライン実験を実施し,測定誤差を減少させる介入についても探る.
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