研究課題/領域番号 |
22K13535
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 桃山学院大学 |
研究代表者 |
平野 孝典 桃山学院大学, 社会学部, 准教授 (70803691)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2024年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2023年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 社会病理・逸脱 / 自殺 / 無職 / 公的統計 / ウェブ調査 |
研究開始時の研究の概要 |
現代日本社会における若年層の自殺動向は、他の年齢層と比較しても深刻な状況にあり、その実態解明は社会的に重要な課題である。若年層の自殺動向は無業者の自殺の増減によって大きく左右されていることから、若年無業者の自殺実態を解明し、若年無業者の自殺を防ぐことが自殺対策上、有効であるといえる。そこで本研究は、大規模な社会調査データを活分析することにより、若年無業者の自殺の実態解明を試みる。
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研究実績の概要 |
コロナ禍の自殺動向の特徴を把握するために、「人口動態職業・産業別統計」(厚生労働省)を活用し、自殺死亡率の変化をもたらした要因を寄与度分解によって検討した。分析時期は2015年と2020年である。また、分析対象はコロナ禍における自殺死亡率の上昇が大きかった若年層(25-34歳)に限定した。職業は就業者・無職・不詳の3カテゴリーを用いた。分析結果は以下の通りである。 まず、男性では自殺死亡率(人口10万人あたりの自殺者数)は微減した(28.1→27.1)。職業別にみると、就業者と無職者の自殺死亡率は上昇し、不詳の自殺死亡率は低下していた。職業構成比をみると、2015年から2020年にかけて、不詳の比率が高まり、就業者と無職者の比率が低下していた。寄与度分解の結果、就業者の自殺死亡率上昇は男性全体の自殺死亡率上昇をもたらしていたが、無職者比率の低下や不詳の自殺死亡率低下の寄与の方が大きく、結果として男性の自殺死亡率は低下していたことがわかった。 次に、女性では自殺死亡率は上昇した(9.9→12.9)。職業別にみると、男性と同じく、就業者と無職者の自殺死亡率は上昇し、不詳の自殺死亡率は低下していた。職業構成比をみると、2015年から2020年にかけて、不詳の比率が高まり、無職者の比率が低下していたが、就業者の比率には変化がなかった。寄与度分解の結果、就業者・無職者の自殺動向は女性全体の自殺死亡率上昇に寄与していたが、無職者よりも、就業者の自殺動向(自殺死亡率の上昇)の方が、寄与が大きいことがわかった。不詳の寄与度は相対的に小さかった。 コロナ禍における若年女性の自殺動向には大きな注目が集まったが、寄与度分解の結果をふまえると、女性就業者の自殺動向こそ、若年女性の自殺死亡率上昇にもっとも大きく寄与したものであるといえる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
公的統計を用いたコロナ禍の自殺動向の職業別分析は順調に進捗しているものの、ウェブ調査の準備がやや遅れている。3年目の研究計画に支障をきたすほどの遅れではないため、「やや遅れている」とした。
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今後の研究の推進方策 |
第1に、公的統計を用いたコロナ禍の自殺動向の職業別分析を完了し、学会誌に投稿する。第2に、今年度末までに大規模ウェブ調査を実施する。
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