研究課題/領域番号 |
22K13551
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 高千穂大学 |
研究代表者 |
栗原 亘 高千穂大学, 人間科学部, 准教授 (80801779)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | アクターネットワーク理論 / 脱・人間中心的アプローチ / エコロジー / サイエンス・スタディーズ / ケア / レジリエンス / ウェルビーイング / 社会-生態システム |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、エコロジー分野におけるレジリエンスに関する理論的枠組みを、アクターネットワーク理論等に代表される脱・人間中心的アプローチ(NAA)の知見によって精緻化することを試みる。まず、本研究では、乱立状態にあるレジリエンスをめぐる議論の見取図を、関連する他の議論との関係もつまびらかにしながら提示する。そしてそのうえで、NAAの脱・二元論的な観点が、とくにレジリエンスをめぐる諸議論の多くが採用している「社会-生態システム」という理論的枠組み、すなわち「社会」と「自然」という二元論的なカテゴリーを堅持していると思われる理論的枠組みを更新するうえで、どのような貢献を果たしうるかについて検討する。
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研究成果の概要 |
本研究の元来の目的は、「レジリエンス」をめぐるエコロジー分野における諸議論を、アクターネットワーク理論(ANT)等に代表される脱・人間中心的アプローチ(NAA)の知見を踏まえて、理論的なレベルで精緻化することにあった。しかし、そうした作業のなかで、レジリエンスという発想の可能性と共に、問題点も明らかとなった。そして、その問題点を克服するために、本研究は最終的に、ケアをめぐるNAA的な議論の潮流などを参照しながら、「分業」の理論を人間だけではなく非人間的な存在体を踏まえた上で組み直すことを目指す必要性を提起するにいたった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
今日、私たちの生きる「社会」は、気候変動、各種災害に加え、そうした衝撃に対する脆弱性にもつながるインフラの老朽化等、広い意味でのエコロジー的な危機に瀕している。私たちは、いわば、これまで前提としてきた条件が壊れかけた世界を生きているといえる。この状況下で、どのように生存の基盤を存続させるのかを考えるためには、人間だけではなく、人間以外の多様な要素(e.g., 人工物、動植物)との関係も射程に入れた形で「社会」の作り方そのものを再考する必要がある。本研究の学術的および社会的な意義は、レジリエンスという概念を軸にしながら、まさにこうした新たな「社会」を構築するための視点と方向性を示した点にある。
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