研究課題/領域番号 |
22K13563
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分08020:社会福祉学関連
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
中越 章乃 (中越章乃) 東海大学, 健康学部, 講師 (30641526)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | 高齢精神障害者 / 終末期 / 機関間協働 / 生活支援 |
研究開始時の研究の概要 |
地域で暮らす高齢精神障害者に対しては、老いや終末期を支え続けられる体制が十分整っているとは言えない。本研究では、精神障害と高齢者支援、終末期ケアを専門とする機関が協働して支援をおこなっている状況を把握するとともに、好事例を類型化し、地域で暮らす高齢精神障害者の老いや死を支える協働体制の構築や、支援提供のために必要とされる関係機関間の協働モデルの検討をおこなう。
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研究実績の概要 |
インタビュー調査では、精神科病院の患者が身体疾患を発症することにより、また終末期に近づくにつれて精神科病院で患者を担当する精神保健福祉士と他機関の連携がどのように変化するのか、患者を支援する精神科病院スタッフの意識や、院内院外での支援チーム構築等について回答を得た。これまでに実施したインタビュー調査の内容をもとに、二次調査に向けて複線径路・等至性モデルを用いて分析、支援経過の可視化をおこなった。その結果、身体疾患を抱える患者を精神科病院のみで支える<精神科病院の孤立化>や、精神科病院内で支援経験を蓄積することの難しさ、または、刻々と変わる病状や状況に応じた支援チーム運営のため高度なコーディネート力を持つキーパーソンが求められること等が示唆された。特に<精神科病院の孤立化>については、先行研究においても指摘されており、インタビュー調査においては、特に精神科病院に入院中の場合には身体疾患の発覚とともに地域で暮らすという生活の場の選択肢を持ちづらくなっていた。制度上、関わることのできる機関が減少した結果でもあり、また身体疾患を治療する診療科や在宅医療を提供する機関が支援チームの一員に入っていないこと等の要因によるものであった。精神疾患を持つ人を対象にし、患者にとっては以前に通い慣れた場所であっても、これまで違う目的をもって利用していた事業所が制度の枠を超えて患者に関わり続けることは困難であることが多く、また、精神疾患があることにより診療科での入院継続や在宅医療サービスの利用ができないと判断されることも多い。結果として、精神科病院のみで患者のケアをおこない、看取る状況が生じていた。これらの結果については学会報告をおこない、複数職種の参加者からの指摘や意見、アイデアなどからも二次調査に向けた知見が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
文献研究やインタビュー調査をおこない、二次調査を実施するために必要な情報を収集した。複線径路・等至性モデルを用いて分析、可視化し学会にて発表した。患者に関わる関係機関の関わりの変化や精神科病院の職員の看取りの意識、支援チーム構築や経験の蓄積の困難などが明らかにされた。これらの知見をもとに二次調査を実施する予定であるが、当初に予定されていた機関よりも状況を把握するのに適した機関があることが想定され、現在まで二次調査の対象となる機関を選定・依頼中である。そのため当初の研究スケジュールに遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
二次調査として全国調査を実施する予定であったが、インタビュー調査の結果等から当初に予定されていた機関よりも状況を把握するのに適した機関があることが想定された。また、支援経験が院内で共有されにくく、適切な対象者にアンケートを実施できない懸念があることから、二次調査をインタビュー調査として実施することも含めて検討をおこなっている。あるいは、アンケート調査の結果、条件に該当する対象に対しインタビュー調査を実施することも検討する。関係機関からの情報収集を継続し、アンケート調査の対象となる機関を選定、二次調査を実施する予定である。
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