研究課題/領域番号 |
22K13574
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分08020:社会福祉学関連
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研究機関 | 東北学院大学 |
研究代表者 |
武藤 敦士 東北学院大学, 経済学部, 講師 (60785674)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2026年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | 母子生活支援施設 / 母子世帯 / 母子支援 / 母と子の家 / 女性の家 / 母子支援の施設体系 / 社会的養護 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、母子生活支援施設の長、もしくはそれに準じる職員にインタビュー調査を実施し、母子生活支援施設を①地域に開かれた施設と②DV対応の閉鎖した施設に区分して運営することの課題と可能性について明らかにするとともに、ドイツの母子支援施設の実態調査を通して、婦人保護施設等他の入所施設を含めた日本の母子世帯支援体系全体のあり方を再考するものである。
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研究実績の概要 |
本研究申請と並行して執筆していた「母子生活支援施設を区分して運営することの課題と可能性:地域に開かれた施設とDV対応の閉鎖した施設の比較から」(全国児童養護問題研究会(2022)『社会的養護研究』(2)掲載)において、現在の母子生活支援施設が置かれている諸状況から勘案すると、現存する母子生活支援施設のみで地域に開かれた施設とDV対応の閉鎖した施設を区分して運営することは現実的ではないことを明らかにした。特に、施設数が減少し定員充足率が低下する現状においては、区分して運営することの是非を問う以前に定員充足率の向上と施設運営の安定化が必要であることが明らかとなった。 そのうえで母子世帯が抱えるDV問題とそれ以外の様々な生活問題を区分して支援するためには、婦人保護施設をはじめとした関連施設と母子生活支援施設の連携と専門分化が必要である。この点については2024年度以降に予定しているドイツにおける母子支援施設の実態調査から、日本における母子支援の施設体系のあり方を考えていきたい。 国内における母子生活支援施設を対象とした研究においては、母子生活支援施設がひとつも設置されていない自治体が増加していることから、ひとまず施設数減少に歯止めをかける必要がある。そこで、2023年度はこの問題について対策を考えていきたい。具体的には、母子生活支援施設の認知度に関する調査と、SNS(Instagram)を利用して情報発信をしている施設の調査である。これらの調査結果から、さらなる研究課題の設定を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「母子生活支援施設を区分して運営することの課題と可能性:地域に開かれた施設とDV対応の閉鎖した施設の比較から」(全国児童養護問題研究会(2022)『社会的養護研究』(2)掲載)を執筆したことから、母子生活支援施設が抱える今日的課題が一層明確となった。特に、定員充足率の低下とそれに伴う暫定定員問題が母子生活支援施設の運営を不安定にしており、これにより支援力の低下を招いている。 そこで、本研究における喫緊の課題として、定員充足率の向上に向けた新たな運営戦略が必要であると考えた。まず注目したのは施設の認知度の低さである。厚生労働省(2021)「令和3年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」では、母子生活支援施設を利用したことがないと回答した母子世帯のうち40.6%が「制度を知らなかった」(母子生活支援施設の存在を知らなかった)と回答している。この調査は「全国の母子世帯、父子世帯及び養育者世帯」を対象としていることから、児童福祉法に定める母子生活支援施設が支援の対象とする「配偶者のない女子又はこれに準ずる事情にある女子及びその者の監護すべき児童」のうち母子世帯に準ずる世帯(婚姻関係は破綻していても戸籍上は婚姻関係にある場合など)を網羅していない。そのため、本研究では母子世帯の母親だけでなく、将来当事者やその相談者になり得る女性全般を対象に調査し、その結果をもとに向上させる方法を検討する必要があると考えた。2022年度においてはこの認知度にかかる調査と研究を進めるべく、2023年2月に調査の趣旨・方法について東北学院大学人間対象研究審査委員会に申請し、2022-031号にて承認を得ている。そのうえで2023年3月1日から3月11日のうちの6日間、仙台市青葉区にある仙台駅周辺および勾当台公園、さらにその間にあるアーケード街において、511名の女性を対象に対面によるアンケート調査を実施した。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究計画については、以下のように考えている。 2023年度においては、母子生活支援施設の認知度に関する調査結果を日本社会福祉学会秋季大会で報告するとともに論文化し投稿する予定である(投稿先は検討中)。また、定員充足率の向上に向けた新たな運営戦略として、これまでDV対応を前提とした閉鎖的な施設運営をしてきた業界のなかで、SNS(Instagram)を利用して情報を発信しはじめた施設が少数ではあるがでてきた。そこで、このような施設を対象に積極的に情報を発信することになったきっかけや運営上の課題、発信の効果などについて調査をおこなう予定である。この調査については2023年2月に調査の趣旨・方法について東北学院大学人間対象研究審査委員会に申請し、2022-030号にて承認を得ている。すでに調査対象候補施設の抽出も終わっており、今後は調査への協力を各施設に依頼する予定である。 2024年度はこのSNSを利用した情報発信の効果と課題に関する研究結果を日本社会福祉学会秋季大会で報告するとともに、論文化して投稿する予定である(投稿先は検討中)。また、コロナ禍により見合わせていたドイツの母子支援施設に関する調査を再開する予定である。2024年度はミュンヘン市にある「母と子の家」と「女性の家」を訪問調査し、そのうえで2025年度以降の調査施設を設定したいと考えている。
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