研究課題/領域番号 |
22K13575
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分08020:社会福祉学関連
|
研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
斎藤 みほ 東京都立大学, 人文科学研究科, 博士研究員 (70930444)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2026年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
|
キーワード | 多世代交流 / 居場所 / 地域交流 / 子育て |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、日本における高齢者と子育て世代(未就学児の親)との世代間交流事業において、参加者同士が交流を深め、関係を構築する過程や機序を明らかにすることを目的とする。先駆的な交流拠点を調査し、事業に継続的に参与しながら、互いの関係性を深めている参加者たちの事例を好事例として取り上げ、関係構築のプロセスやその機序を明らかにし、高齢者と子育て世代との交流を発展させるため基礎的知見を提示したい
|
研究実績の概要 |
本研究の目的は、日本における高齢者と子育て世代を中心とした世代間交流事業において、双方の世代が交流を深め、関係を構築する過程や機序を明らかにする点にある。その方法として本研究は、交流の拠点となる場所のフィールド調査を行う計画を立てている。 フィールド調査を実施するにあたり、2022年度では主にその調査対象の選定と参与観察、先行研究の文献調査を実施した。 フィールド調査によって明らかになったのは、拠点を運営するスタッフと参加者たちとの関係性が重要な意味を持っているという点である。これまでの先行研究では、世代間交流の意義やそれが参加者にもたらす効果を分析することが多かったが、そうした交流がどのようにうまれるのかといったプロセスや機序について触れられることが少なかった。また、これまでは参加者同士の関係性に焦点があてられる傾向があったが、本調査で明らかとなりつつあるのは、運営スタッフと参加者との関係性が交流拠点の交流を生みだす機序として重要であるという点である。世代間交流が進展している拠点では、運営スタッフと参加者とが、それぞれ役割を持ちながら、立場としては明確に分けられていないという特徴がある。つまり、運営スタッフが一方的にサービスを提供する側、参加者はあくまで受けてとしてサービスを享受する側といった立場に固定されず、それぞれ大なり小なり拠点を運営する役割を担いながら、それぞれができることを相互扶助的に実施しているのである。 こうした特徴に関する分析は、今後さらに、交流が成立している拠点とそうでない拠点を複数比較して行っていく必要があるが、ひとつの傾向として示せるのではないかと推測している。 こうした仮説は、現在、多くの社会支援の場で支援者・被支援者として固定化しがちな状況の見直しを提言するものとしても重要だと考える。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画書の予定通り、東京近郊および他の地域での調査対象地となる、世代間交流が行われている地域の拠点を選定し、フィールド調査を開始している。調査対象となるフィールドは、日本世代間交流学会からの情報および様々な媒体における記事などをもとに調査し、実際に対象候補となる拠点に行き、さらに現地の研究者とも打ち合わせを行い、選定している。 2022年度はそうした候補地をいくつか訪問すると同時に、調査可能な拠点についてはすでに調査許可を取り、何度か通いながら参与観察を行った。現地で拠点を運営しているスタッフへのインタビュー調査も進めているところである。また、拠点への参加者へのインタビュー調査も行い、双方の視点から、世代間交流が成立する拠点のあり方や、どのような工夫や関わり方が「居心地の良さ」や交流のきっかけを生みだしているかを中心に調査分析を進めているところである。 なお、いくつかの拠点はまだ選定途中であり、今後も調査対象候補となる拠点を継続して探していく予定である。 こうしたフィールド調査と並行して、研究の基礎となる現代の子育てに環境関する先行研究などにの文献調査も進めているところである。その成果の一部は、日本子育て学会の学会誌に投稿し、掲載が決定している。 以上の点から、当初の計画に対しおおむね順調に進展していると考える。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は引き続き、調査地としている交流拠点の参与観察を行い、高齢者と子育て世代の間の世代間交流において、参加者の間の交流がどのように進展し、情緒的サポートや情報的サポートを行うような関係性を構築していくのか、さらに参加者と運営スタッフとの関係性がどのように築かれそれが拠点の運営にどのような影響をもたらしているのか、その過程を長期的な参与観察によって追っていき通時的に分析していく予定である。 さらに比較対象として、交流が成立している拠点とそうでない拠点も数か所選定し、調査を実施していく方針である。 現在は、新型コロナ感染症の影響が少しづつ治まりつつあるが、今後移動の制限や、交流拠点の閉鎖、参加の規制などがあった場合に関しては、その都度条件に合わせて調査方針を変更する可能性がある。例えば、オンラインでのインタビュー調査に変更するなどの可能性があるが、特に問題ない限りは予定通り現地でのフィールド調査を進めていく予定である。
|