研究課題/領域番号 |
22K13606
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分08030:家政学および生活科学関連
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研究機関 | 活水女子大学 |
研究代表者 |
稲田 文 活水女子大学, 健康生活学部, 准教授 (80705400)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 吸着 / 有機化合物 / 相互作用 / 再生繊維 / セルロース系繊維 / 繊維 / 高分子材料 / 分子間相互作用 |
研究開始時の研究の概要 |
「顔や髪の毛、羊毛のセーターには、木綿のシャツよりも、臭いが付きやすい」という感覚は、誰でも日常的にもつと思われる。そこで、「各物質には、油やアルコールの吸着しやすいものと、そうでないものがある」と仮定される。本研究者のグループは、各種繊維に対して、アルコールやトルエンなどの有機化合物の混合蒸気をさらした結果、それぞれが異なる量で吸着する事を見出した。本研究では、「繊維が吸着物質を選ぶ規則性」を追求し、「選択的な吸着がなぜ起こるのか?」という課題について、分子間相互作用の観点から、新しい解釈を試みる。
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研究実績の概要 |
1.緒言 「高分子と低分子の分子間相互作用」は科学の諸現象を考察する際に基本的な概念であるが、複雑な因子が多く、研究は極めて少ない。そこで、単純化した分子間相互作用のモデルとして、高分子素材に対する有機化合物の吸着現象に着目し、各種繊維や合成ポリアミノ酸に対する有機化合物の吸着実験を行った。その結果、各種繊維や合成ポリアミノ酸が固有の有機化合物の吸着特性を示す事がわかった。本件では、有機化合物の吸着によって、再生繊維の識別が可能かを検討した。 2.実験 1) 材料 ①繊維:天然繊維(綿)、再生繊維(レーヨン、キュプラ、リヨセル)はメタノールで抽出後、乾燥した。②吸着物質:有機化合物(ベンゼン置換体,アセトニトリル,ジオキサン,DMF,デカンなど)、炭素数の異なるアルコール。 2) 吸着実験:有機化合物の飽和蒸気にフィルムを40℃で24時間吸着させた。吸着物質を酢酸エチルで抽出し、ガスクロマトグラフィ-(Shimadzu GC-2025)で分析した。単位重量に対する化合物の吸着量を計算した。 3.結果と考察 各種繊維(綿、レーヨン、キュプラ、リヨセル)に対して、9種の有機化合物の混合物からの吸着を検討した結果、次の事がわかった。1) 綿はメタノール、DMFの順に吸着量が多かった。2)再生繊維(レーヨン、キュプラ、リヨセル)は、メタノールが最も多く吸着した。2番目に多く吸着した有機化合物は、レーヨンにはジオキサン、キュプラとリヨセルにはアセトニトリルであった。3)キュプラとリヨセルは吸着傾向が類似した。しかし、ジオキサン、DMFの吸着量に差がみられた。 この結果、それぞれの繊維が特異な有機化合物の吸着傾向を示しており、有機化合物による吸着傾向から繊維の識別の可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
再生繊維(レーヨン、キュプラ、リヨセル)に対する有機化合物の吸着傾向が把握できたため。
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今後の研究の推進方策 |
獣毛繊維に対する有機化合物の吸着傾向を検討する。
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