研究課題/領域番号 |
22K13607
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分08030:家政学および生活科学関連
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研究機関 | 山陽女子短期大学 |
研究代表者 |
久保田 耕司 山陽女子短期大学, その他部局等, 准教授 (10626097)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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キーワード | 界面活性剤 / 皮膚バリア機能 / 経皮吸収 |
研究開始時の研究の概要 |
皮膚組 織を損傷しバリア機能を著しく低下させることは、界面活性剤の重大な欠点の一つであ る。一方で、界面活性剤は高度な機能性を持ち、抗コロナウィルス活性も期待されている。これらの機能性を、皮膚バリア機能への影響を抑制しつつ発揮するための治験は、ポストコロナの新しい生活様式に不可欠である。 研究代表者は、界面活性剤の皮膚バリア機能への網羅的評価法を開発し、界面活性剤のタンパク質への影響の強さの度合いから皮膚組織への影響の分子メカニズムの類型を分類し、細胞間脂質への影響を推定した。 本研究では、これらの結果に基づき、皮膚バリア機能への分子メカニズムに基づく界面活性剤製剤の処方開発の知見を求める。
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研究実績の概要 |
イオン性の異なる界面活性剤の混合による皮膚バリア機能への影響をTransmission Index法とタンパク質変性活性測定の組み合わせで評価した。界面活性剤が皮膚バリア機能に及ぼす影響のメカニズムには、細胞間脂質への作用のほか、Transmission Index法の開発課程で推測された皮膚表面タンパク質への吸着を強く示唆する結果が得られた。 界面活性剤の細胞間脂質への影響には、細胞間脂質が含む水分量または界面活性剤製剤の水分量、もしくはその両方が強く影響するため、水分量測定のために水分計を導入して評価を試みた。いくつかの界面活性剤で水分を溶出することができた。細胞間脂質に含まれる水分に関しては、結晶水となっていることが推測され、溶出方法を検討中である。 界面活性剤の皮膚表面タンパク質への吸着の評価は、当初は熱力学的手法による比熱変化の速度測定を計画し試みていたが、技術習得に遅れを生じ、十分な精度が得られないことから、吸着量直接測定法の調査・検討と、濾過減量法の精度向上を検討した。現在までに、直接測定が困難であると判断し、濾過減量法で測定・評価することとした。定量法確立のための検討試験を実施している。 皮膚バリア機能の低下を抑制・低減する処方について、Transmission Index法のプロトタイプとした試験法の検討段階で、熱力学的に不活性な親水性ポリマー分子が界面活性剤による皮膚バリア機能低下に有効に機能した結果に基づいて、類似の化合物や素材を検討し、Transmission Index法による評価を試みている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
角質細胞間脂質への界面活性剤の影響評価に熱力学的分析法を採用し、評価・解析方法の確立を試みているが、当該試験の実施を依頼していた協力者の退職により、分析装置の操作とデータ解析の習熟に大きな遅れを生じている。 模擬試料を用いた検討試験において、ヒト組織とは大きな乖離が予測された。これについて、ヒト試料を用いる規定・組織の準備が整っていないため、ヒト試料を適用することに困難を生じている。
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今後の研究の推進方策 |
ヒト試料の適用は直ちには困難であり、当該課題助成期間中に達成できるかどうか不透明であるため、界面活性剤の皮膚表面タンパク質への吸着の解析方法の確立と評価の実施を最優先する。 現在、遠心濾過法による減量測定を実施するための試料の選定および実験系の開発・検討をおこなっている。
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