研究課題/領域番号 |
22K13608
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分08030:家政学および生活科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
渡邊 源哉 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産研究部門, 主任研究員 (00782179)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 食肉 / こく / 官能評価 / うま味 / 閾値 / 三点識別 / 油脂 / 消費者調査 |
研究開始時の研究の概要 |
「こく」は食品の官能特性を表す日本特有の用語であるが、その意味は曖昧である。本研究は、申請者がこれまでにアンケート調査により「食肉のこく」の認識に寄与する可能性を見出した脂肪およびうま味成分を添加した食肉エキスの「こく」と各エキスから知覚された感覚を一般消費者に評価させることで、一般消費者の認識に基づき「食肉のこく」を具体的な成分および感覚として定義づけることを目的とする。
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研究実績の概要 |
本研究は一般消費者が食肉を喫食した際にどのような成分や感覚要素から「こくがある」と認識するのか解明することにより、「食肉のこく」の科学的な指標を提案することにある。具体的には、我々が食肉の「こく」の認識に寄与する可能性を見出した油脂およびうま味成分を鶏肉エキスに添加し、会場調査により一般消費者に「こく」を評価させることで目的の達成を試みる。 昨年度は、一般消費者を対象とした会場調査に供するモデルエキスの油脂およびうま味成分の添加濃度を決定するため、訓練されていないパネリストを用いて油脂Aおよびうま味成分Aの閾値の算出を試みた。この結果、油脂Aにおいては、鶏肉エキスにおける油脂Aの閾値が明らかとなった。他方、うま味成分Aにおいては閾値を算出できなかった。 そこで今年度は、新たにうま味成分Bの添加試験を行い、閾値の算出を試みた。具体的には、我々の所属機関に勤務する職員から、一般消費者を想定し、官能評価に関する訓練を受けていない者をパネリストとして募集し、16名を得た。続いて、4種類の濃度のうま味成分B添加エキスを調製し、それぞれについてうま味成分B無添加のエキスとの三点識別を前述のパネリストを用いて行った。この結果、濃度依存的な正解率の上昇が認められたものの、4種類すべてのうま味成分B添加エキスがうま味成分B無添加のエキスと有意に識別され、閾値は算出できなかった。 続いて、前述した試験と同一の条件でパネリストを募集し、新たに16名を得た。このパネリストに前述の識別試験の結果を参考に、うま味成分Bの添加濃度を調節した4種類エキスを新たに調製して三点識別に供した。この結果、うま味成分Bの添加濃度と識別試験の正解率のプロビット回帰分析から、訓練を受けていないパネルについて、鶏肉エキスにおけるうま味成分Bの閾値が明らかとなり、一般消費者を対象とした会場調査に供するモデルエキスを確立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、昨年度修正した計画通り、訓練を受けていないパネルにおけるうま味成分の閾値を明らかにし、モデルエキスの調製条件を確立した。他方、一般消費者を対象とした会場調査の実施に向けた準備の着手までには至らなかったことから、やや遅れているとした。
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今後の研究の推進方策 |
一般消費者を対象とした会場調査に供するモデルエキスの調製条件を確立できたことから、同調査の実施に向けて準備を行うとともに、実査を行いデータを得る。得られたデータを解析することで、一般消費者の「食肉のこく」の認知に寄与する成分および感覚要素を解析する。解析結果を受けて、一般消費者による評価データを追加で得る必要があるか検証し、本研究課題の実施期間の延長も検討する。
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