研究課題/領域番号 |
22K13628
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
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研究機関 | 岡山県立大学 |
研究代表者 |
山本 孝司 岡山県立大学, 保健福祉学部, 教授 (00399768)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | ウィリアム・T・ハリス / スーザン・E・ブロウ / セントルイス公立学校幼稚園 / アメリカ幼稚園運動 / 国際幼稚園連盟 / 19人委員会 / フレーベル主義保守派 / 進歩主義幼稚園 / 幼小接続 / 公立学校幼稚園 / 幼稚園の学校化 / 進歩主義教育 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究には次の三点の独自性がある。①1870年代の公立学校幼稚園設立に関わったウィリアム・T・ハリスの教育思想のうち幼児教育と初等教育の異同に関わる見解を浮き彫りにするという点、また②進歩主義教育期の幼稚園と小学校のカリキュラムの接続構想を国際幼稚園連盟と全国初等教育評議会の議論から分析するという点、そして③デューイによって設立されたシカゴ大学実験学校のサブプライマリーにおける幼稚園と小学校の接続期の実践理論の今日的意義を明らかにするという点である。ここで明らかになる研究成果については、今日のわが国における幼小接続カリキュラム開発にとっても非常に示唆に富むものである。
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研究実績の概要 |
2022年度は、アメリカ幼稚園運動期における幼小接続の原点として、1873年のセントルイス公立学校幼稚園の設立に焦点を当てて、設立当時のセントルイス教育長ウィリアム・T・ハリスとスーザン・E・ブロウの教育思想に関する考察を行った。 ハリスに関しては、進歩主義教育への彼の影響を幼児教育に焦点化して考察した。彼の幼児教育思想について、幼稚園と小学校カリキュラムの接続という観点から、幼稚園のサブ・プライマリー化の出発点となったこと、小学校教育の準備教育として、旧来のフレーベル主義に基づく幼稚園教育に改良を促したことという二つの点で、進歩主義幼稚園のプロトタイプを提示したという意味合いにおいて、より積極的な評価をすることに努めた。 またブロウに関しては、19世紀末頃からの進歩主義幼稚園のカリキュラム開発による、子どもの経験の連続性による幼小接続を視野に幼稚園のプレスクール化が進む過程において、ブロウを中心とするフレーベル主義保守派は、幼稚園に軸足を置きながら初等教育への実践的接続を模索したが、それはあくまでフレーベル思想とその教育法を堅持することを通してであった。これまでのアメリカ幼児教育史の先行研究においては時系列的にみて進歩主義幼稚園がフレーベル主義幼稚園に取って代わる歴史として描かれ、ブロウをはじめとするフレーベル主義保守派に対しては、フレーベルの恩物と象徴主義を固守するあまり偏狭な恩物主義や形式的な象徴主義に堕した形骸化したフレーベル主義に陥ったと結論づけられてきたが、本考察においてはアメリカ幼稚園運動の中でブロウの幼児教育思想の再定位を行う作業として、幼稚園の独自性を維持しながら初等教育との接続を図ろうとするブロウの試みを取り上げ、彼女を中心とするフレーベル主義保守派についての再評価を試みた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題の基礎的作業としてアメリカにおける幼小接続の制度的な出発点となる19世紀70年代のセントルイス公立学校幼稚園設立の背景にあったハリス、ブロウの幼児教育思想の考察を通して、初等教育へと繋がる幼稚園教育に当初期待された機能について明らかにすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、引き続き制度的な幼小接続の背景としてハリス、ブロウの教育思想についての考察を行うとともに、接続のあり方として幼稚園がプレスクール化していく過程についてアメリカにおける国際幼稚園連盟を舞台とする幼稚園教育実践家たちによる論争、進歩主義幼稚園教育家の接続理論に焦点を当てて研究を進める。
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