研究課題/領域番号 |
22K13632
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
|
研究機関 | 国立教育政策研究所 |
研究代表者 |
廣谷 貴明 国立教育政策研究所, 教育政策・評価研究部, 研究員 (70880160)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
|
キーワード | 教育長 / 教育行政 / 地方教育行政 / 教育委員会 / 地方政治 / 教育政策 / 教育と政治 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、地方教育行政と地方政治の関係に関して、教育長の行動という視点から切り取り、教育委員会のさらなる活性化の方策を明らかにすることである。研究では、具体的に次の2点を解明することを目指す。第1に教育長が知事や首長、議会、教育委員会事務局職員、首長部局職員等の各アクターに対していかなる行動をするのか、その実態を明らかにすることである。第2に教育長の行動の帰結として、教育政策にどのような影響が生じるのかを明らかにすることである。
|
研究実績の概要 |
教育長の行動がいかに教育政策に影響を及ぼすかという課題を明らかにするため、2022年度は全国の地方政府の教育長を対象とした悉皆調査を実施した。調査では、2021年度時点の教育長の地方政府内外の各アクターとの接触行動、接触頻度や政策選好、その他性別や年齢、学歴等について回答をいただいた。この調査により、まずは教育長の行動の実態把握を行った。調査の回収率は都道府県36.2%、市区町村33.7%であった。 調査の基礎集計の結果、接触行動と政策選好について次の2点が明らかになった。第1に教育長の各アクターとの接触行動に関して、最も接触頻度が多かったアクターは教育委員会事務局職員であり、次いで知事・市区町村長、副知事・副市区町村長、知事・首長部局職員、教育委員、所管学校の校長、副校長・教頭、地方議会議員等のアクターとの接触が多かった。一方で、所管学校の教諭、文部科学省職員、NPO、民間企業等、ルーティン的な接触が少ないアクターも観察された。教職経験と行政経験、両方の経験がある教育長の方が、特に首長部局のうち、政策・企画関連部局との接触が多かった。 第2に教育長の政策選好について、教育長は教育に対して財政拡充を望み、あらゆる人々への平等な支援を志向すること、または教育政策の立案・形成・決定においては多様な者に権力を分散させることや一般行政との連携促進を志向する等の政策選好をもつことを明らかにした。特に一般行政との連携については、行政経験を積んだ教育長の方が、当該選好をもちやすい傾向にあった。 上記の研究成果について2022年度の日本教育行政学会で報告を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度は、まずは教育長の行動や政策選好に関する実態を把握することを目標としていた。調査を終え、データの基礎集計を完了させたととともに、日本教育行政学会で集計結果及び基礎分析の結果を報告することができた。分析により、教育長の経験によって、各アクターへの接触行動や政策選好が変わりうることを明らかにできたことは、今後のデータ分析結果の考察を行う上で、1つ重要な知見となる。さらに次年度以降行う予定である分析に関連するデータ整備も同時並行で進めることができた。 具体的な成果も得られていることから、おおむね順調に進展していると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は教育長の行動や政策選好がいかに教育政策に影響を与えるのかについて、今年度得られた調査データを、首長、議会、教育委員会、教育費に関するデータと組み合わせながら分析を進めていく予定である。 さらに2024年度中にもう一度教育長を対象とした調査を行う予定であり、調査を通じて地方政府レベルの教育長パネルデータを構築する。これにより、教育政策に影響を与えうる要因が、地方政府の社会経済環境によるものなのか、あるいは教育長の力量によるものなのか、同一地方政府間の比較により明らかにすることが期待できる。
|