研究課題/領域番号 |
22K13638
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
呉 永鎬 鳥取大学, 地域学部, 准教授 (00781163)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 外国人学校 / 朝鮮学校 / 学校保健活動 / 学校保健安全法 / 各種学校 / 生存権 / 保健室 / 福祉 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、これまで研究の関心外にあった外国人学校における学校保健活動の歴史と実態を、地域的文脈および外国人学校種の違いに着目しながら明らかにすることによって、外国人学校を公的に保障する制度のあり様を講究していくための手掛かりを探ることを目的とする。その成果は、外国人学校に通う子どもたちの命と健康、生存権を保障していくために求められる制度、仕組み、運用方法、社会関係、関連諸機関の連携のあり方等を示すとともに、外国人の教育保障を含めた公教育のあり方を議論するための有力な基盤を提供できると考える。
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研究実績の概要 |
2年目となる2023年度は、朝鮮学校の学校保健活動の歴史を集中的に調査することを目標としていた。昨年度の聞き取り対象者からスノウボウル形式で調査者を探し、北海道、茨城、東京、神奈川、京都、大阪、岡山、広島といった地域において、朝鮮学校の学校保健活動がどのように行われてきたのか、現地調査・聞き取り調査を実施した。東京や大阪といったいわゆる在日朝鮮人集住地域においては在日朝鮮人医療関係者が学校健診や歯科検診などを担っていたが、そうでない地域では日本人医療関係者の力を借りていた。廉価でこの事業を担う者や、ボランティアで行う者など、様々であった。行政からの支援の変遷について朝鮮学校では正確に把握できなかったため、来年度にこれを集中的に調査する。また在日本朝鮮人医学者協会(医協)が所蔵する資料調査や、医協に所属する(元)看護師、歯科衛生士からも聞き取りを行い、学校保健活動を成立させその質を向上させるための、各学校を超えた、特に医療関係者らを中心とした在日朝鮮人の取り組みの歴史の一部を整理することができた。一方、校舎改修・新築などを行った一部の学校には保健室が設けられていた。今回調査できた学校の中で常駐の保健室教員がいるのは一校のみであった。医務室と呼ばれる空間にベッドを置き、いくつかの医薬品等を備えている学校もあったが、やはり専門家が常駐している方が安心できるという教員、保護者の声があった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
多くの調査を計画通りに実施できている。新たに収集できた文書資料は可能な限りPDFに保存し、リスト化している。北海道、茨城、東京、京都、大阪、岡山、広島等、各地の朝鮮学校の学校保健に関わってきた多くの当事者の話を聞くこともできた。想定より多くの時間を要したが、引き続きスノウボウル形式で人脈辿りながら、各外国人学校の学校保健活動の歴史と実態を明らかにする。
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今後の研究の推進方策 |
学校保健活動に関わってきた外国人学校当事者たちの経験や取り組みを聞き取りながら、その歴史と実態を明らかにしつつ、それらが制度的にどのように保障されてきたのか/されてこなかったのかを明らかにする必要がある。各種学校には学校保健安全法が適用されないことを前提に、特に各自治体においてどのような支援や保障がなされてきのかを、今年度は集中的に調査する。保障するための、または排除のための「工夫」がどのようになされてきたのかを明らかにするとともに、そうした対応の是非を考えるために、諸外国における学校保健活動の取り組みや、子どもの権利条約といった観点からの考察を深めていくための基盤を整える。
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