研究課題/領域番号 |
22K13640
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
|
研究機関 | 大谷大学 |
研究代表者 |
寺川 直樹 大谷大学, 教育学部, 講師 (50801990)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2026年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2025年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2024年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2023年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2022年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
|
キーワード | 人格 / 自由 / 行為 / 人間形成 / ムーニエ / 人格主義 / 人格(人間)形成 / 創造(的行為) / ベルジャーエフ / 道徳教育 / 人格の完成 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、「特別の教科 道徳」(以下、道徳科)の内容項目の4視点と関連づけながら、①人格と自由との関係(2022、23年度)、②人格と他者・共同体との関係(2024年度)、③人格と宗教的なもの・自然との関係(2025、26年度)について教育哲学・道徳教育の視点から明らかにする。その際、フランス人格主義(ムーニエ・Th. シャルダン)およびその源流に当たるベルジャーエフの思索を手がかりとする。
|
研究実績の概要 |
今年度は、ムーニエの人格主義思想を人間形成の視点から吟味した。わけても、晩年の書『人格主義』に着目し、同書のキーワードである人格・自由・行為の関係に焦点を当てて検討を進めた。 まず、人格の特徴として、人格は自然との連続性を保持しつつもそこから超越しようとする点を指摘した。また、こうした超越的方向性の裏面として、人間は自らの内面世界へと目を転じることになる。とはいえ、こうした内面化の過程が進展すると、翻って自己からも解放され、他者へと開かれていく。 こうした超越(解放)的運動こそ、ムーニエが語る自由の一端である。とはいえ、人間の自由は神的な絶対的自由ではなく、今ここに存在する実存の自由であることから、「条件つきの自由」と称するのが適切であろう。その意味で、彼は自由を「選択の自由」と捉える。しかし、それもまた単に所与の選択肢を選ぶという通俗的な意味ではなく、「創造的な決断」としてそこに積極的意義を付与するのである。 このように、ムーニエにとって自由とは、まさに選択や創造、決断、さらには超越(解放)であることから、それは行為という性格を有することになる。そして、この行為という概念により実存的な意味合いを込めて、彼はそれを(現実世界への)参加と表現する。また、選択や決断とも関連して、参加としての行為は現実世界との「対決」やそれへの「抗議」という性格も有することも併せて確認した。 以上のように、ムーニエの人格主義思想において、人格・自由・行為は密接に連関する。そして、こうした超越(解放)・選択・創造・決断といった自由としての行為こそ、人間形成を支え、またそれ自体が人間形成の過程だと言えよう。こうした観点をもとに、ムーニエが人格の教育を構想していることを指摘するに至った。さらに、前年度の研究課題であったベルジャーエフの自由概念との比較考量も実施した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度の研究課題は、ムーニエの自由概念を教育学(人間形成論)の視点から考察することであった。今年度はその点について検討し、その成果を論文として公表することができた。また、2022年度の研究課題であったベルジャーエフの自由概念と比較考量するにまで至った。以上のように、当初計画に即して研究課題を遂行していることから、「おおむね順調に進展している」と判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度は、道徳の内容項目の4視点の一つである「B 主として人との関わりに関すること」を念頭に、ムーニエの人格主義に依拠しながら他者論について検討する。その際、今年度参照した『人格主義』だけでなく『実存主義案内』にも目を配りながら、その具体的内実を明らかにするとともに、その人間形成論(教育学)的意義を明らかにしている。
|