研究課題/領域番号 |
22K13643
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
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研究機関 | 摂南大学 (2023) 和歌山信愛大学 (2022) |
研究代表者 |
江口 怜 摂南大学, 現代社会学部, 講師 (60784064)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 夜間中学 / マイノリティ / 不登校 / 教育運動 / 学習権 / 戦後日本社会 / 在日外国人 / 識字 / 包摂と排除 / 義務教育 / 教育史 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、子ども期において十分に学校で学ぶことのできなかった義務教育未修了者が学んだ公立夜間中学および市民団体が開設する自主夜間中学の事例について歴史的な検討を行う。特に、1970年代以降の公立夜間中学・自主夜間中学及び近接する諸実践・諸運動(識字運動、在日朝鮮人教育、中国残留孤児支援、インドシナ難民支援、フリースクール運動等)の事例を取り上げ、夜間中学が様々なマイノリティの教育や人権擁護の運動の「交差点」としての意味合いを帯びていたことに着目しながら、社会的マイノリティにとっての学校・教育の意義について考察する。
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研究実績の概要 |
本年度は、兵庫県、大阪府、岡山県、東京都などの公立夜間中学、自主夜間中学、識字教室、通信制中学に関係する資料調査、インタビュー調査等を実施した。同時に、夜間中学に関連する全国集会や各地で開催されるシンポジウム・フォーラム等にも参加し、情報収集や意見交換、研究協力者との関係構築などを進めた。また、学会報告や論文執筆を通して研究成果の公表だけでなく、様々な機会に講演等を通して市民や教育関係者に対して研究成果の公表を進めた。 本年度の成果の一つは、自主夜間中学に関するこれまでの研究成果をまとめて論文として公表し、1970年代以降の自主夜間中学運動・夜間中学設立運動の歴史的展開過程の概要を明らかにできたことである。公立夜間中学に関しては学校や自治体の発行資料、全国夜間中学校研究会の発行資料などから歴史の概要が明らかになってきたが、ボランタリーに運営される自主夜間中学に関しては研究上明らかになっていなかった点も多い。本研究を通して、学校教育領域における実践・運動と市民社会(社会教育)領域における実践・運動との交錯のありようを示すことができたことで、今後の後続研究に対して多くの示唆を与えることができるものと考える。 もう一つの成果は、2016年の教育機会確保法制定後に注目されている不登校問題と夜間中学の関係に関して、学会発表を通して論点を提示することができた点である。この研究成果は、今後共著の著作において公表する予定であり、学齢期の不登校児に対する対応のなかで夜間中学をどう位置付けるべきかという点に関して、研究だけでなく政策形成に対しても示唆を与えることができるものと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、登校拒否・不登校問題、識字運動、自主夜間中学運動と公立夜間中学との関係性に関する研究成果を公表することができた。また、公立学校において在日コリアンに対する教育から始まり、広く在日外国人教育に展開した大阪府や兵庫県の実践の系譜に関して調査研究を開始している。 当初の計画で予定していたインドシナ難民支援や中国帰国者支援と夜間中学の実践・運動との関連に関しては、十分に調査研究が進められていない点は今後の課題である。しかし、両地域ともに既に一部の資料は収集済みであり、現地に詳しい専門家や実践者との関係は構築しつつあるため、現状においてはおおむね順調に研究は進展している。
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今後の研究の推進方策 |
上述の通り、当初の研究計画通りに進行していない点はあるものの、新しい人脈形成のなかで当初の計画とは異なる新たな資料調査が実現している部分もあるため、柔軟に研究対象を微修正しながら、全体として「マイノリティ教育運動の交差点」としての夜間中学という点に注目した研究を進める予定である。
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