研究課題/領域番号 |
22K13655
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分09020:教育社会学関連
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
劉 麗鳳 日本大学, 文理学部, 助手 (20875801)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 家庭教育 / しつけ / 教育戦略 / 中国 / 農村部 / 母親 / しつけ観 / 教育観 / 学校ー家庭の関係性 |
研究開始時の研究の概要 |
近代化や都市化が進む変動期中国において、家庭教育をめぐる議論が錯綜している。農村部の「留守児童」や寄宿生活を送る子どもの増加を背景に、農民家庭の放任的な教育態度や低い教育期待に加え、学校教育に依存的な姿勢が指摘される一方、子どもの学業達成を促すために様々な教育戦略を駆使する農民家庭の実践も明らかにされている。本研究は、子どもの教育やしつけに関する家庭(親)―学校(教師)の役割および責任範囲の認識を検討することを通して、農村部の「家庭教育力の低下」論を再検討する。
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研究実績の概要 |
初年度である今年度は、主に以下2つの課題に取り組んだ。 1つ目は、中国の家庭教育に関する先行文献を収集しながら読み進めていることである。収集した文献を読み進め、家庭教育に関する先行研究の進捗状況および研究成果を整理し、本研究課題の問いや枠組みを深めることができた。しかし、中国語や英語の文献収集は調達に時間がかかったこともあり、まだ十分に入手できていない。次年度以降の中国現地調査に向けて、引き続き文献の収集・検討作業を進め、現地調査に向けて具体的な調査計画を立てていく。 2つ目は、これまで収集したデータを用いて、農村部の母親のしつけや教育戦略をテーマに論文を執筆し、刊行したことである。対象者7名と限られた人数ではあるが、中国農村部で暮らす母親を対象にインタビュー調査を実施し、そこで得られたデータに基づいて、子どもたちのしつけや教育に高い関心を払っている母親たちの姿を描き出した。文化資本や経済資本が限られるなか、対象となった農村部の母親たちはしつけに関心を注いでいただけでなく、子どもたちの教育達成に寄与できるよう様々な方略を練り上げていた。家庭教育力の低下言説が中国社会に広がっているなか、本論文ではそういった言説と異なる実態の一角を明らかにできた。ただし、対象者数の少なさが課題として挙げられるため、今後は調査対象者数を増やし、本論文の知見を検証していくとともに、都市部との比較を含めて研究を進めていきたいと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度はおおむね当初の研究計画の通りに進めることができた。 十分とは言えないが、本研究課題の遂行に必要な関連資料や文献をある程度収集することができた。収集した資料や文献の購読を進め、本研究課題の問いや枠組みを再検討できたとともに、次年度以降に実施予定の現地調査の準備を進めることができた。また、現段階で収集したデータを用いて論文の執筆・投稿を行ない、現代中国の農村部における家庭教育の実態の一端として、母親のしつけやその教育戦略の在り方を明らかにすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
2年目は以下の作業を進める。 1点目は、引き続き文献の収集と検討作業を進めることである。必要に応じて中国現地に出向いて、資料調査を実施する。 2点目として、次年度以降の中国現地調査に向けて、インタビュー項目や質問紙調査項目を完成させると同時に、調査協力者を増やしていくことである。現地調査が難しい場合は、オンラインでのインタビュー調査を実施することも検討する。 3つ目は、都市部におけるしつけや子育ての状況を視野に入れながら研究を進めることである。農村部に焦点を当てた研究ではあるが、その特徴を捉えるためには都市部との比較の視点は欠かせない。今後は文献の検討を進めると同時に、都市部における現地調査の可能性も探っていきたい。
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