研究課題/領域番号 |
22K13665
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分09030:子ども学および保育学関連
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研究機関 | 総合研究大学院大学 |
研究代表者 |
関澤 麻伊沙 総合研究大学院大学, 統合進化科学研究センター, 特別研究員 (70844752)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2024年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | ニホンザル / インファントハンドリング / オキシトシン / 子育て |
研究開始時の研究の概要 |
霊長類では、母親以外の個体がアカンボウに接触する、infant handlingと呼ばれる行動がよく観察される。本研究では、ヒト以外の霊長類におけるinfant handlingの生理的メカニズム、機能および適応的意義を明らかにし、ヒトの共同育児における進化的基盤を考察することを目的とする。本研究では、ニホンザル野生群を対象に、infant handlingによる尿中オキシトシンレベルの変化およびハンドラーの子育て技術の向上・アカンボウの死亡率の低下につながることを通して、infant handlingの生理メカニズムおよびハンドラーの将来の適応度への影響を世界で初めて検証する。
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研究実績の概要 |
霊長類では、ハンドラーと呼ばれる母親以外の個体がアカンボウに接触する、インファントハンドリングという現象が日常的に観察される。ヒトにおいても同様に、乳幼児と母親以外の個体との接触が頻繁にみられる。そのため、インファントハンドリングによってハンドラーが得る適応度上の利益を解明し、ヒトの共同育児の進化の過程を理解しようと、ヒト以外の霊長類のインファントハンドリングについて、これまで多くの研究が行われてきた。先行研究では、個体の行動データを収集してインファントハンドリングの機能を明らかにしようと試みてきた。しかし、行動データからだけでは、ハンドラーの内部状態及び適応度の向上については検証できない。本研究では、尿中オキシトシン濃度とインファントハンドリングとの関係性をみることで、ヒト以外の霊長類におけるインファントハンドリングの生理的メカニズム、機能および適応的意義を明らかにし、ヒトの共同育児における進化的基盤を考察することを目的としている。 昨年度に引き続き、今年度も5~6月の春季および10~11月の秋季に、宮城県金華山にて、ニホンザル野生群のコドモ~ワカモノ期のメス(4~6才)6個体を対象として、個体追跡による行動観察および尿サンプルの回収を行った。1回1時間以上の個体追跡により行動観察を行い、インファントハンドリングおよび社会行動の行動データを収集した。春季には各個体12時間以上の行動データおよび計38個の尿サンプルを回収した。秋季は発情していた1頭を除く5頭より、各個体11時間以上の行動データおよび計21個の尿サンプルを回収した。現在は収集した行動データの入力および、解析対象となるインファントハンドリング、そのほかの社会行動に関わるデータの抽出を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、春季及び秋季に行動データの収集と尿サンプルの回収を行うことができた。データ入力と尿サンプルの解析には当初予定していたよりも時間がかかっているが、概ね順調に課題を進行できている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は収集した行動データの入力・抽出および尿サンプルの分析を行う。両者が終了し次第、行動データより抽出したインファントハンドリングの頻度と尿中オキシトシン濃度との関係性を解析し、成果を学会や学術論文で発表する。
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